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2013 年度 実施状況報告書

運動習慣と心肥大の形成に関与する脳内因子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24700754
研究機関大分大学

研究代表者

森島 真幸  大分大学, 医学部, 助教 (40437934)

キーワード脳内モノアミン / 心筋肥大 / 自発運動
研究概要

本研究では、我々が世界に先駆けて発見し樹立した高自発運動性ラットSPORTSを用いて、このラットの運動習慣規定因子である脳内モノアミンが運動習慣の制御だけでなく心筋肥大の形成や心機能調節に関与しているかどうかを生理学的に解析する。また、その詳細な調節機構を明らかにすることを目的とする。本年度の事業では、脳内モノアミンは運動習慣の制御のみならず、心拍数制御や心筋の肥大形成に関与することに貢献する可能性を精査するため、SPORTSラットの脳内モノアミン動態を薬剤(MAOA阻害薬)投与により再現したモデルを作成し、自発運動量と心拍変動解析、また心拍数制御に関わるタンパク質の発現解析を行った。リアルタイムPCR法やWestern blot法により、SPORTSラットの心拍調節に関わるイオンチャネルやキナーゼ、心筋特異的転写因子の発現を調べたところ、SPORTSラット心筋では、L型カルシウムチャネル(Cav1.2)mRNA発現及びタンパク発現が顕著に亢進していた。また、同様にMAOA阻害薬投与群(脳内カテコラミン増加群)においてもCav1.2 mRNA及び、タンパク発現の亢進が認められた。さらに、心筋におけるCav1.2の転写を制御する転写因子であるCREBのリン酸化の亢進が両群で認められ、脳内モノアミンの増加による心拍数増加には、転写因子CREBを介したCav1.2発現の増加が関わる可能性が示唆された。一方、形態学的観察の結果からは、MAOA阻害薬投与群では心筋細胞のサイズが対照群に比べやや増加する傾向が認められ、脳内モノアミン動態を変化させることで、運動(圧負荷)を介さなくとも心筋細胞を成熟させられる可能性が示唆された。今後さらなる追実験が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マイクロダイアリシスによる脳内モノアミン定量とテレメトリー送信機による心電図記録を同時に測定するためのシステムの稼働がうまくいくようになり、安定した実験結果が得られるようになったため当初の実験計画のとおりに進められた。
安定した結果が得られたことから、SPORTSラットの運動習性を規定するモノアミン濃度がある程度わかり薬剤実験に進むことができた。

今後の研究の推進方策

自発運動と心拍数を制御する分子が心筋肥大(成熟)にどのように関わるかについて引き続き検証実験を行う。さらに、SPORTSラットと薬剤投与により脳内モノアミン構成を再現したモデルラットの自発運動量や心電図、脳内モノアミン濃度を測定したのち心筋を採集し、RNA抽出やタンパク抽出を行い心筋の構造的あるいは電気的リモデリングに関わるタンパク群(イオンチャネル、細胞内キナーゼ、転写因子等)の細胞内シグナル経路の解析を行う。具体的には、心筋からRNAを抽出しDNAマイクロアレイ解析を行い遺伝子発現を網羅的に解析する。DNAマイクロアレイ実験の準備はすでに整っている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Establishment of model of Spontaneously- Running- Tokushima-Shikoku rats with left atrial thrombosis2014

    • 著者名/発表者名
      Ohnishi T, Hisaoka F, Morishima M, Takahashi A, Harada N, Mawatari K, Arai H, Yoshioka E, Toda S, Izumi K, Nakaya Y.
    • 雑誌名

      Journal of Toxicologic Pathology

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enhancement of endothelial function inhibits left atrial thrombi development in an animal model of spontaneous left atrial thrombosis2014

    • 著者名/発表者名
      Mawatari K, Yoshioka E, Toda S, Yasui S, Furukawa H, Shimohata T, Ohnishi T, Morishima M, Harada N, Takahashi A, Sakaue H, Nakaya Y
    • 雑誌名

      Circulation journal

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [学会発表] 低酸素環境における心筋T型カルシウムチャネルの役割2014

    • 著者名/発表者名
      森島真幸、長川賢、稲垣薫克、土持裕胤、白井幹康、小野克重
    • 学会等名
      第91回日本生理学会大会
    • 発表場所
      鹿児島大学 郡元キャンパス
    • 年月日
      20140316-20140318
  • [学会発表] テストステロンは心筋においてKvLQT1チャネルの発現を増加させQT間隔を短縮させる2014

    • 著者名/発表者名
      増田季美子、王岩、馬芳芳、森島真幸、高成広起、小野克重
    • 学会等名
      第91回日本生理学会大会
    • 発表場所
      鹿児島大学 郡元キャンパス
    • 年月日
      20140316-20140318
  • [学会発表] 脳由来神経栄養因子BDNFとその受容体TrkBの低酸素環境下心筋における発現動態2013

    • 著者名/発表者名
      森島真幸、藤田崇史、小野克重
    • 学会等名
      第23回日本病態生理学会
    • 発表場所
      東京慈恵会医科大学
    • 年月日
      20130802-20130804
  • [学会発表] 脳由来神経栄養因子BDNFの心臓における発現と低酸素病態下における役割

    • 著者名/発表者名
      森島真幸、藤田崇史、小野克重
    • 学会等名
      第12回九州脳と高血圧・循環制御研究会
    • 発表場所
      ホテル日航福岡
  • [備考] 大分大学医学部病態生理学講座

    • URL

      http://www.med.oita-u.ac.jp/pathophysiology/

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公開日: 2015-05-28  

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