研究課題/領域番号 |
24700761
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
宇田 宗弘 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80549262)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 身体運動 / 骨格筋 / トリプトファン残基 / チロシン残基 / ニトロ化修飾 / プロテオーム解析 / 高強度間欠性走運動 |
研究概要 |
近年、骨格筋の収縮時に生じるタンパク質のチロシン残基のニトロ化修飾が糖の取り込み機能の制御に関与している可能性が示されている。一方、我々はトリプトファン残基もニトロ化されることを見出し、骨格筋においてもニトロトリプトファンが生じていることを確認している。したがって、タンパク質のニトロ化修飾が生理的条件である身体運動中あるいは運動後の細胞機能の制御に関与している可能性が考えられる。そこで本研究では中強度持久性走運動及び高強度間欠性走運動によりラットの骨格筋におけるチロシン残基とトリプトファン残基のニトロ化修飾の程度に変化が生じるのか否か、またニトロ化修飾が変化したタンパク質を同定して、そのニトロ化部位を決定し、タンパク質の機能への影響を解明することを目的として実験を行った。実験動物には3ヵ月齢の雄のF344ラットを用いた。ラットに中強度持久性走運動(15m/minの速度で1時間のトレッドミル走)あるいは高強度間欠性走運動(50m/minの速度で1分間のトレッドミル走を1分間隔で18回)を行わせ、その直後にヒラメ筋と足底筋を採取した。ニトロ化修飾されたタンパク質は2次元電気泳動と特異的抗体を用いたウェスタンブロッティング、質量分析装置を用いて検出した。実験の結果、中強度持久性走運動と高強度間欠性走運動により約60kDa付近に見られるスポットのタンパク質のトリプトファン残基のニトロ化に変化が生じることを見出した。このスポットのタンパク質を質量分析装置で分析した結果、α-skeletal muscle actinであった。本研究ではα-actin以外にも身体運動によりニトロ化が変化する可能性のあるタンパク質を見出している。平成25年度は細胞内シグナル伝達タンパク質のニトロ化に着目して研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は中強度持久性走運動及び高強度間欠性走運動によりラットの骨格筋におけるチロシン残基とトリプトファン残基のニトロ化修飾の程度に変化が生じるのか否か、またニトロ化修飾が変化したタンパク質を同定することである。平成24年度においては中強度持久性走運動及び高強度間欠性走運動後の骨格筋から数種類のタンパク質のニトロ化修飾が変化する可能性のあることを見出していることから、本研究がおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
近年、タンパク質のニトロ化修飾が細胞内シグナル伝達タンパク質の活性化を制御していることが示されていることから、平成25年度は細胞内シグナル伝達タンパク質に着目して、中強度持久性走運動及び高強度間欠性走運動後の骨格筋における細胞内シグナル伝達タンパク質のニトロ化修飾の変化について検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は細胞内シグナル伝達タンパク質のニトロ化修飾に着目して研究を進めるため、研究費は主に細胞内シグナル伝達タンパク質に対する抗体などの消耗品の購入に使用する予定である。また平成24年度に行った研究データを学会で発表する予定であるため、学会大会への参加のために研究費を使用する。
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