研究課題/領域番号 |
24700763
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
宮下 政司 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (40447248)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 身体活動 / 生活活動 / 食後中性脂肪 / 脂質異常症予防 / 閉経後女性 |
研究概要 |
【背景】申請者は横断研究より、週150分以上の中強度以上の身体活動を充足している高齢者では、充足していない高齢者より食後の中性脂肪値が低いことを明らかにしている。しかし、実証的研究より日常生活中における身体活動による食後中性脂肪への影響について検討した研究は皆無である。また、先行研究において、平日に比較して週末の身体活動量は低下すると報告されている。本研究は、閉経後女性における週末の生活の中で活動量を増加させることが、食後中性脂肪値を低下させるか検討することを目的とした。 【方法】閉経後女性10名(年齢63 ± 1歳、平均 ± 標準誤差)を対象に無作為抽出・反復法を用い、2つの異なる生活活動条件(週末活動試行および週末活動維持試行)後に脂肪負荷試験を実施した。各試行の間隔は2週間とした。週末活動試行では、土曜日および日曜日に生活の中で活動量を時間は規定せず、普段の週末の活動量より増やすよう依頼した。週末活動維持試行では、土曜日および日曜日に普段通りの生活を送るよう依頼した。両試行とも月曜日の朝に脂肪負荷試験を行い、毛細血管血(全血)を空腹時、食後2、4、6時間に採取した。 【結果】週末活動試行(1.44 ±0.20 mmol/L/6h)において、週末活動維持試行(1.65 ±0.21 mmol/L/6h)と比較し、食後6時間中の毛細血管中性脂肪濃度は低値を示した(二元配置の分散分析(主効果:試行)、P=0.026)。 【考察】週末に日常生活中の活動量を約15分増やすことで、食後の毛細血管中性脂肪濃度を低下させることを明らかにした。閉経後女性ではエストロゲンの低下に伴い、脂質異常症の罹患率が高まるため、本研究の結果は脂質異常症の予防策の一つとして寄与できるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りにデータが採取でき、問題なく進めることができています。また、学会やシンポジウムの招待演者として得られたデータを発表しており、外部へ研究成果を発信することができています。現在、国際学術誌に論文として投稿するため、原稿を執筆しています。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度における研究では、閉経後女性を対象に週末の生活の中で活動量を増加させることが、食後中性脂肪値を低下させるか検討した。その結果、週末に日常生活中の活動量を約15分増やすことで、食後の毛細血管中性脂肪濃度を低下させることを明らかにした。しかし、平成24年度に実施した研究では、歩行のような生活の中での身体活動は介入により増加したが、座位活動量や微小活動(歩行以下の活動強度)量は週末活動試行と週末活動維持試行との間で有意な差は認められなかった。近年、「身体不活動」が「身体活動」とは独立して、死亡や罹患率を高める要因と報告されている。しかし、実際に介入による調査はほとんど実施されていない。したがって、平成24年度に実施した研究を発展させるために、平成25年度の研究では、生活の中で活動量を増やすことで身体不活動の時間を減らす研究デザインを設定し、食後中性脂肪値への影響を明らかにする。具体的には、閉経後女性(20名を予定)を対象とし、1ヶ月間の生活活動量の増加ならびに座位時間の減少は、食後中性脂肪値に影響を及ぼすか否か、通常の生活活動維持群における食後中性脂肪値と比較する。 また、身体活動による食後中性脂肪値の上昇抑制効果についての報告は多いが、身体活動中止後の不活動の影響について高齢者を対象とした報告はない。したがって、身体活動の利点だけでなく身体活動中止や不活動の不利点についても明らかにしていくことが必要である。従って、平成26年度における研究であ、定期的なウォーキング習慣がある閉経後女性(15名を予定)を対象に通常の一週間のウォーキング直後、2日間のウォーキング中止後および7日間のウォーキング中止後にそれぞれ脂肪負荷試験を行い食後中性脂肪値の変化を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度費目別収支状況として、繰り越し研究費が生じた理由として、血液分析外注費を計上していたがその費用がなくなったためとなります(申請者が測定したため)。繰り越し研究費は、協力者が必要となる研究であるため平成25年度の人件費に充て使用致します。
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