研究課題/領域番号 |
24700763
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
宮下 政司 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (40447248)
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キーワード | 食後中性脂肪 / 生活活動 / 脂質異常症予防 / 閉経後女性 / 身体活動 |
研究概要 |
【背景】近年、厚生労働省より発表された「健康づくりのための身体活動基準2013」において65歳以上では、「強度を問わず、身体活動(運動と生活活動)を毎日40分、今より少しでも増やす」ように推奨されている。しかしながら、生活活動の増加が食後中性脂肪値に与える影響に着目した研究は皆無である。本研究は、閉経後女性における日常の生活活動量を増やすことが、食後中性脂肪値を低下させるか検討することを目的とした。 【方法】対象は運動習慣のない閉経後女性30名(年齢71.1±4.1歳)とした。日常生活の活動量の事前測定を3週間行った後、対象者を日常における生活活動を増加させる群(生活活動増加群)15名、対照として今まで通りの生活を行う群(生活活動維持群)15名に無作為に振り分け、4週間の生活介入を行った。生活活動増加群には、強度・時間・頻度を問わず少しでも生活活動量を増加させるよう依頼した。生活活動維持群には、今まで通りの生活を送るよう依頼した。両群とも介入期間中は日誌にて自身の活動を記録した。研究期間の前後に両群とも1日の身体活動実践の禁止後に食事負荷試験を行い、静脈血を空腹時、食後2、4、6時間に採取した。 【結果】4週間の介入後、生活活動増加群は生活活動維持群と比較し、歩数において1日あたり約600歩増加した(介入前 6979 ± 2057歩/日 、介入後 7586 ± 2301 歩/日, P = 0.047)。食後6時間中の中性脂肪値には、両群の間に有意な差は認められなかった。(生活活動増加群9.9 ± 6.0 mmol・6h/L;生活活動維持群 11.8 ± 4.5 mmol・6h/L)。 【考察】閉経後女性において、自由行動下のもとで自己選択式の生活活動増加は、食後中性脂肪値を低下させないことが明らかとなった。若年者の身体活動による食後中性脂肪値の上昇抑制効果は急性的であるという先行研究の報告がある。本研究の結果は、高齢期においても身体活動は日常的に実践する必要があることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通りにデータが採取でき、問題なく進めることができています。また、学会やシンポジウムの招待演者として得られたデータを発表しており、外部へ研究成果を発信することができています。現在、国際学術誌に論文として投稿するため、原稿を執筆しています。
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今後の研究の推進方策 |
申請者を含め先行研究において、細切れ運動による身体活動の蓄積は、若年者の食後の中性脂肪値を低下させることが示されている(Miyashita et al. J Prev Med Public Health 2013)。従って、これらの研究を発展させるため、高齢者において1日の中で身体活動を蓄積することが食後中性脂肪値へ与える影響を明らかにする。具体的には、高齢女性(15名程度を予定)において、安静座位、連続運動(トレッドミル上で30分間の歩行を行う。)、細切れ運動(トレッドミル上で1回1.5分の歩行運動を15分おきに計20回、合計30分実施する)の3試行が食後中性脂肪値に与える影響について比較する。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰り越し金額が生じた理由として、血液分析外注費を計上していたがその費用の一部がなくなったためとなります(申請者が測定したため)。 繰り越し研究費は、協力者が必要となるため平成26年度の人件費に充て使用致します。
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