研究課題/領域番号 |
24700770
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
加藤 えみか 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (90586439)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 姿勢調整能力 / 筋形状 / 足関節の関節可動域 / 年代差 |
研究実績の概要 |
19歳から47歳までの成人男女37名を対象として,下腿の筋特性と姿勢調整能力との関係を明らかにすることを目的として下記の実験を実施した.測定項目は形態的な特徴(身長,体重,下腿長,下腿の周径囲),筋形状(筋束長,羽状角),筋力(足関節底屈トルクおよび背屈トルク),筋のスティフネス,柔軟性(足関節の他動的および能動的な関節可動域),発揮筋力の調整力,姿勢調整能力(足圧中心の前後方向および左右方向への移動範囲)であった.姿勢調整能力は被験者に40秒間の安静立位姿勢を床反力計の上で保持させるものであり,両足での開眼試行と閉眼試行,片脚での開眼試行の3種類を行った.両足での開眼試行のみ2回行い,それ以外の2種類については4回の合計10回行った.10回の試行の順番はランダムとした. 下腿の筋特性について測定した項目と姿勢調整能力のパラメータとで相関関係をみたところ,男女ともに年齢が上がるほど,開眼片脚での左右方向の動揺が大きくなった.また,身長が高く,下腿長が長いほど開眼および閉眼での両足試行で前後,左右の動揺が大きかった.下腿の周径囲や筋厚の値が低いほど,さらには他動的,能動的に関わらず足関節の底屈および背屈の関節可動域が小さいほど閉眼試行において前後方向への動揺が大きかった. 20代までと30代以降で被験者を群分けして検討したところ,20代までの群では腓腹筋内側頭の筋束長が長い被験者ほど開眼,閉眼を問わず前後方向の動揺が大きかった.また,30代以降の群では他動的.能動的に関わらず足関節底屈方向の関節可動域が小さいほど閉眼での両足試行において前後方向の動揺が大きかった.年代による姿勢調整能力を検討したところ,両足開眼試行に有意な年代差はみられなかったが,両足閉眼試行および片脚開眼試行において20代までの群の方が30代までの群よりも有意に動揺が小さかったことが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に掲げた下腿の筋特性と姿勢調整能力の年代差について横断的な測定が行えており,かつ年代によるバランス能力に影響を及ぼす項目の違いも明らかにしつつある. 平成25年度では40代から70代までに取得した中高齢者のデータと合わせて,平成26年度では10代から40代までのデータを取得することができたため,全ての年代のデータは揃えられたため,上記のように判断した次第である.
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今後の研究の推進方策 |
先の「現在までの達成度」で述べたように全ての年代のデータは取得できたものの,年代ごとに被験者の数の差が大きい.20代が最も多く,50代以降は数名のみであるため引き続き積極的に被験者の募集などを行っていきたいと考えている. また,平成25年度に取得した40代から70代の被験者のデータと,平成26年度に取得した10代から40代のデータにおいて,測定項目が合わないものもあるので,今年度実施する実験において被験者の負担にならない範囲でなるべく多くの測定項目を網羅していくことを計画している.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に際して,消耗品等の使用が想定していたよりも少なかったため,当初の使用予定とは異なっている.
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次年度使用額の使用計画 |
実験に際して,昨年度は消耗品の購入は少なくて済んだが,今年度はまずそれらに充てる. さらに,被験者や験者への謝金および,論文投稿や海外での学会発表の際の英文校正や投稿料,旅費として使用する.
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