平成25年度の計画に基づき、世代間支援に関しての支援実態とそれに対する妻の認識を探索するために、世代や経済状況、結婚年数、家族環境等が異なる妻10人を対象とするインタビュー調査を実施した。インタビューに応じた対象者の年齢は30代(30代半ば~30代後半)で、就業状態は仕事をしていない人を対象にしたが、そのうち一人は育児休業中であった。 分析結果、妻たちは世代間支援に様々な戦略を立てていることが浮かび上がった。その1として、「折り合いをつけるタイプ」という様子が伺えた。夫側親への支援に対して、夫の意見を尊重することで、自分の親への支援に対しても夫と衝突がないようにしたいということだった。具体的に、夫は長男ではなく夫側親の扶養の責任が自分たちにあるわけではないが、経済的支援も、住まいのことも面倒みたがるので、それには妻も反対しないという。その理由として、自分の親へも同じことをやりたいからだと語った。その2として、「折衷タイプ」という様子が伺えた。経済的支援については、夫側親と自分の親へは同じように金額を決めているが、直接訪問したり、実家で寝泊まりしたりする回数は夫側の親の方が多いというような形をとっていた。具体的に、結婚前に、両家の親への支援の範囲および金額等を決めていたという。たが、夫側の親へは直接訪問する機会が3週間に1回、すくなくとも月1回はあるという。負担にはなるが、夫側の親の年齢が自分の親より高齢であることもあるし、子どもとして同然のことだという認識をもっていた。二つの例をあげたが、インタビューの結果、30代の妻たちは、世代間支援に対して、夫側親への支援を妻側親への支援より優先するという感覚ではないようにみえたが、真正面に「平等」ということを出すよりは、 相手を認めて、自分の要求も認めてもらうという戦略をとっているような様子であった。
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