研究課題/領域番号 |
24700778
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
菊池 佐智子 茨城大学, 地球変動適応科学研究機関, 補助金研究員 (50409471)
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キーワード | 再生可能エネルギー / 地域施設 / 太陽光 / 環境デザイン / 景観環境植物 / 環境改善、緑化 / 緑地環境管理 / 都市緑化植物 |
研究概要 |
屋上緑化上に太陽光パネルを設置し、周辺環境および電力量、芝生サッチの鮮度を測定、分析した。測定項目間の関係性に着目し、電力量と植物生育の維持を可能にする環境条件を検討した。 緑化試験区には、湿質多孔質人工軽量土壌を敷き、ノシバの改良品種エルトロを植栽して、芝生管理の定量値20mmに設定した。発電と緑化の両立条件を検討するため、傾斜角33.1度の太陽光パネルを緑化試験区とコンクリート区、傾斜角5度の太陽光パネルを緑化試験区に設置した。測定項目は、電力量、芝草の生育状況(鮮度)のほか、太陽光パネル裏面および地表面付近の温度・湿度、傾斜面日射強度、光量子束密度とした。 屋上緑化の有無による太陽光パネル裏面と地表面付近の気温を比較したところ、緑化33.1度区では、太陽光パネル裏面が0.1°C低くなった。傾斜面日射強度は、有意水準0.01のとき、緑化33.1度区の方が緑化5度区よりも強くなることが確認された。日累積光量子密度は、傾斜角5度下、傾斜角33.1度下、太陽光パネル無の順に大きくなり、太陽光パネル無を100とすると、傾斜角33.1度は75.44、傾斜角5度では85.87減少した。電力量は、緑化33.1度区では最大12.41Wh、平均6.14Wh、コンクリート33.1度区では最大18.98Wh、平均10.95Whとなった。鮮度は、季節変動の影響に最も影響を受けていたが、太陽光パネルの設置、傾斜角の違いも鮮度に影響を与えていることを明らかにした(有意水準0.01)。標本数が少なく、統計的な分析に耐えうるデータが取得できていないが、太陽光パネル下のサッチは葉長の伸長が確認でき、太陽光線のスペクトルの黄・赤が不足していることが予想された。 以上から、芝生緑化は太陽光パネル裏面の気温上昇を抑制すること、太陽光パネル下の芝草の葉長は伸長することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長期的な電力量の計測は順調である。 周辺環境(温度・湿度)、傾斜面日射強度、光量子束密度の測定、分析も順調である。 しかし、屋上緑化可能面積のデータベース作成は、解析に使用するGISソフトの準備が遅れたため、若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の展開として、都市域では屋上緑化と太陽光発電の両立、郊外では耕作放棄地や空地と太陽光発電(メガソーラー施設)の両立に有効な示唆を与えることが期待できる。 そこで、屋上緑化可能面積の算出し、屋上緑化と太陽光発電の両立を検討するとともに、太陽光パネル下の植物生育および環境条件(温度・湿度、光量)を明らかにすることで、耕作放棄地や空地と太陽光発電(メガソーラー施設)の両立、農業分野のソーラーシェアリングの成立条件の提示に向けた研究に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
実測における研究補助者(アルバイト)が確保できなかったため。 GISソフトを使用した屋上緑化可能面積の算出が遅れたため。 計画的に研究補助者(アルバイト)が確保できるよう、確定した研究スケジュールを早めに公開し、募集を募るようにする。 研究の今後の展開を考え、都市域では屋上緑化可能面積の算出、郊外域では耕作放棄地や空地等の面積の算出を行うため、必要となる地図データの購入、空中写真の購入に充てる。
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