緑化面に黒色太陽光パネルを設置したPVグリーンシステムとコンクリート面に設置した黒色太陽光パネルのパネル周辺の高温化抑制と電力量の関係を考察した。2012年9月から11月の秋期では、冬期でも緑化を維持するためにWOSを実施したため、芝草の蒸発散によるパネル周辺の高温化抑制は低くなることが予想された。そこで、気温を説明変数、発電電圧から算出した電力量を目的変数として重回帰分析を行った。式の有意性は低かったが、パネル裏面付近の気温が下がるほど電力量が増加し、地表面付近の気温と周辺の気温差が小さくなるほど電力量が増加することが示された。2012年12月から2013年2月の冬期では、夏期に比べ、パネル周辺が高温化しないことが予想されたが、パネル周辺の高温化抑制には影響がないことが確認された。2013年3月から5月の春期では、秋期のWOSと同様、芝草を深刈りするため、パネル周辺の高温化抑制が抑制されると予想されたが、その影響(芝草の深刈りの影響)は受けていなかった。そして、秋期同様、気温を説明変数、発電電圧から算出した電力量を目的変数として重回帰分析を行った。式の有意性は低くなったが、地表面付近の気温と周辺の気温の差が小さくなるほど電力量が増加することが示された。2013年6月から8月の夏期では、PVグリーンシステムの効果が最も発揮され、パネル裏面付近の気温が最も冷やされていた。PVグリーンシステムに使用した芝生緑化(改良日本芝“エルトロ”とアニュアルライグラス“フェアウェイ2”のWOS)はパネル周辺の高温化抑制に有効であることが確認できた。秋期同様、気温を説明変数、発電電圧から算出した電力量を目的変数として重回帰分析を行ったところ、パネル付近の気温が下がるほど電力量が増加すること、地表面付近の気温と周辺の気温の差が小さくなるほど、電力量が増加することが示された。
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