研究課題/領域番号 |
24700789
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
中迫 由実 奈良女子大学, 人間文化研究科, 博士研究員 (30464275)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 防犯教育 / 小学校 / 集団登下校 / 連れ去り |
研究概要 |
平成24年度は、文部科学省によって「学校保健及び学校安全表彰」において表彰を受けた小学校および周辺校を対象に、防犯教育の取組実態および登下校の実態を把握するためにアンケート調査を実施した。このような全国的な実態は詳細がわからない部分が多く、また地域差などの比較を行い得る点により意義が認められる。調査票の配布数は3271票、回収票は900票、回収率27.5%であった。回答校の属性は、市街地に位置する学校が約半数を占め、適正規模校が約4割、児童の通学時間は15~20分未満の小学校が約4割であった。 防犯教育は、交通安全が9割、連れ去り防止訓練が7割と多くの学校で実施されていた。連れ去り防止訓練の内容は、「講話」の実施が64.8%と多く、「大声を出す訓練」、「連れ去り時のロールプレイング」は約4割程度の実施であった。対象学年は主に低学年であり、実施単位は全学年一斉での実施が多く、実施頻度は年に1回がほとんどであった。講師は警察関係者が中心であるものの、教員や少数であるが地域ボランティアが行っているケースが見られた。また訓練時保護者に参加を呼び掛けている学校は少ないが、家庭での教育を促している学校は約4割となっていた。具体的にどのようなことを家庭で行われているかは今後明らかにしたい。 安全確保の一つの方法として集団登下校があるが、集団登校は比較的実施されているものの、集団下校は約2割にとどまっている。周辺環境との関係では、田畑が多い地域で集団登下校をしている割合が高い。通学時間との関係では、児童の通学時間が長い小学校ほど集団登下校をしている傾向がみられた。また地域的な傾向では、九州地方で集団登下校の実施率が10%未満で、全体の21%に対して低く、地域的な特徴がみられたこととその理由について明らかにすることが課題として得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、全国の小学校での防犯教育および登下校の実態について、アンケート調査を通じて把握することが目的であり、本年度予定通り調査が実施できたことより、順調に進展している。ただ、可能であれば次年度に向けての予備的調査としてヒアリングを実施したかったができなかったのは課題である。しかし、この点については本年度の研究計画のウエイトとして占める値は極めて低く、達成度には影響を及ぼさない。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の調査で得られた結果をもとに、先進的な取り組みを行っている小学校を選定し、ヒアリング調査を行う。またその小学校に対して、保護者または小学生を対象に意識調査を実施し、取り組みの成果について分析、考察を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の未使用研究費についてであるが、次年度に向けてヒアリングなどの予備的調査を行うために計上されていたものである。しかし所属が変更になるという予測不可能の事態が発生し、さらに相手方(小学校)との時間的な確保が難しくなりヒアリング調査ができず、本年度未使用となったものである。よって、次年度はパソコン、ビデオカメラなどの物品購入、および調査に関係する送料や調査に伴う謝金の支払い、ヒアリング調査の現地視察で発生する旅費として使用する。
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