研究課題/領域番号 |
24700809
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
谷米 温子 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (30586326)
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キーワード | 嚥下調整食 / 高齢者用食品 |
研究概要 |
嚥下調整食を用いた力学物性値と咽頭部における流速との関係を明らかにするために、力学物性測定を中心に行った。機器による力学物性測定法として、テクスチャー測定を行い、嚥下調整食の物性値を明らかにし、さらに広範囲の物性値を持つ試料から、厚生労働省(消費者庁)の規定する高齢者用食品の物性規格との比較検討を行った。実際に嚥下調整食として用いられている食品やゾル状・ゲル状・固体状といった状態の異なる食品についてかたさ・付着性・凝集性のテクスチャー測定から得られるパラメータを用いて、これまでに我々の研究で明らかになりつつある、超音波による流速測定で得られるパラメータの関係について検討した。厚生労働省(消費者庁)が規格として用いているかたさ・付着性・凝集性のパラメータおよび数値は経験的に導き出されたものであり、一方今回検討したのは、咽頭部での食塊の流れを数値化した、最大流速および平均流速という定量的な検討と物性値との関係であり、そこから得られる物性指標は嚥下調整食品を作製する際の咽頭部での流れに対しての物性の定量的指標と言える。これらの定量的指標を用いて、嚥下調整食の試作品を作成し、咽頭部での流速分布と物性との関係を評価することによって、経験のみに基づく規格ではな、科学的根拠に基づいた物性指標が構築できると考えられるので、次年度の試作品作成につなげることができる嚥下調整食の物理的測定値の結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに実際に嚥下調整食として用いられている食品や、ゾル状・ゲル状・固体状といった様々な状態持つ食品の物性測定には、状態に合わせた機器を用いた研究が多く、測定機が変わると同じ物理量でも数値の比較が難しかったが、今回はより測定範囲の広いロードセルの購入により、テクスチャー測定の測定可能範囲が広がり、様々な物性の食品について、嚥下調整食への応用を目指した測定をすることが可能となった。2N~200Nまでのロードセルをサンプルに合わせて選択し、1つの機器で測定することで同一の物理量で状態の異なる試料を評価することができ、これにより幅広い食品について嚥下調整食への応用のための指標となる物理的性質を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果を踏まえて、食品の状態に適したプランジャーを選択し、より物理的意味の明確な物理量を用いた嚥下調整食として適した物性を検討するため、固体状・ゲル状・ゾル状と、状態に寄らない嚥下調整食の物性指標を構築する。合わせて超音波による咽頭部での流速分布の測定結果と合わせて、誤嚥の危険性を推測できる力学物性値についての検討を行い、結果を広く公表できるようにする。検討結果を用いて、体内での機能性を有する嚥下調整食の作成を目指した次の実験計画へのステップとして、結果をまとめていくことを目標とし、そのために必要な物性指標の検討を進めていく。
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