研究課題/領域番号 |
24700814
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
宮本 有香 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (70399252)
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キーワード | チイルラジカル / スーパーオキシドアニオンラジカル / ビタミンC / エリソルビン酸 / dough / タンパク質 / アスコルビン酸ラジカル |
研究概要 |
平成25年度は、パンの品質改良剤として幅広く用いられているビタミンC(アスコルビン酸(以下L-AsA-Na))および、L-AsA-Naの異性体であるエリソルビン酸ナトリウムのパン品質改良機構に、活性酸素の一種であるスーパーオキシドアニオンラジカルが関与し、かまぼこの品質改良機構と同じ機構が成り立つか否か、その作用機序について詳しく検討を行った。焼成実験の膨化率による比較では、L-AsA-Naは、98.5ppm添加(ドライイースト由来L-AsA-Na 90ppm+添加 L-AsA-Na 8.5ppm)により顕著な膨化を認めたが、98.5ppm以上のL-AsA-Na添加はパンの膨化を顕著に抑制した。一方、L-AsA-Na異性体であるエリソルビン酸ナトリウムは、L-AsA-Naと同様に8.5ppm添加(ドライイースト由来L-AsA-Na 90ppm含む)により有意な膨化率増加を認め、さらに500ppm添加(ドライイースト由来L-AsA-Na 90ppm含む)まで濃度増加と共に膨張率も顕著な増加を示した。昨年度(平成24年度)の結果より、どちらの品質改良剤もドウ中でスーパーオキシドアニオンラジカルが発生し、パンの品質改良機構に強く関与している可能性が示唆されたが、本年度の検討より、それぞれの品質改良剤の添加濃度が大きく異なり、さらに、それぞれの品質改良効果を示す添加量を明らかにした。特に、エリソルビン酸ナトリウムは、イースト由来のL-AsA-Na 90ppmを含有していても、エリソルビン酸ナトリウム添加量の増加に伴い、膨張率が大きく増加したことから、両者のドウ中での品質改良への寄与や機構等が異なる可能性も併せて強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、L-AsA-Naの品質改良効果を顕著に示す添加濃度は、98.5ppm添加(ドライイースト由来L-AsA-Na 90ppm+添加 L-AsA-Na 8.5ppm)であり、L-AsA-Na異性体であるエリソルビン酸ナトリウムは、イースト由来のL-AsA-Na 90ppmを含有していても、添加量の増加に伴い、膨張率も増加し、その効果はエリソルビン酸ナトリウム500ppm添加でも認められた。すなわち、今年度は、両者の品質改良効果を明確に示す添加濃度を明らかにし、ドウ中での品質改良への寄与や機構等が異なる可能性が強く示唆されたことから、平成25年度はほぼ計画通りの進展ができていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、品質改良剤であるL-AsA-Naとエリソルビン酸ナトリウムの品質改良効果を明確に示す添加濃度を明らかにしたが、ドウ中での作用機序などが異なっている可能性が見いだされた。 そこで、平成26年度は、スーパーオキシドアニオンラジカルの発生源として、L-AsA-Na、エリソルビン酸ナトリウム以外の発生源としてリボフラビンを用い、また、ドウ調製条件として、ドライイースト由来のL-AsA-Naが存在しない状態を検討する。すなわち、ドウ中でのスーパーオキシドアニオンラジカル自信の働きをさらに詳しく検討することで、L-AsA-Naとエリソルビン酸ナトリウムの品質改良効果を示す添加濃度の差およびその作用機序を明らかにする。 また、L-AsA-Naとエリソルビン酸ナトリウムおよびリボフラビンを添加したドウの物性面を比較するため、焼成前後の生地の電子顕微鏡観察による構造観察を行い、どの段階で品質改良が起きているかについても検討を行う。
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