研究課題/領域番号 |
24700822
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
曽根 保子 高崎健康福祉大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80452027)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ビタミンC / 免疫応答 / 酸化 |
研究実績の概要 |
当初、実験計画で予定していた白血球細胞であるHL-60細胞の生育が不調であったため、平成26年度は、HL-60と同じくヒト白血病由来であり、急性単球性細胞であるTHP1を代用することにより、ビタミンCによる免疫促進効果を主に2つの方法で評価した。 免疫反応の過程で、白血球内では抗原の酸化的な分解が誘導されることから、この酸化レベルを一つの指標として、ビタミンCの負荷時における酸化レべルの評価を行った。その結果、免疫活性剤により活性化されたTHP1細胞では、ビタミンCの負荷によって、酸化レベルに大きな差異は認められなかった。また、ビタミンCに対する濃度依存的な変化も確認されなかった。免疫反応の初期では、酸化的環境がごく局所的に発生している可能性も考えられ、より検出感度の高い評価法を検討する必要があると考えられた。 一方、免疫応答において、酸化的環境を誘導する際のスイッチとなるタンパク質の発現レベルをウエスタンブロッティング法により解析した。その結果、ビタミンCの負荷により、酸化的な環境を誘導するタンパク質の発現が有意に増加していることが確認された。さらに、本タンパク質は情報伝達物質による活性化に伴い、細胞膜上へ移行することが報告されていることから、免疫活性剤で処理したTHP1の細胞膜を分画し、膜画分におけるタンパク質発現量を解析した。膜画分では、細胞の活性化状態にかかわらず、ビタミンCの負荷によるタンパク質の発現レベルの増加が認められた。添加したビタミンCの濃度依存的な変化は認められなかった。 これらの結果より、ビタミンCを負荷することによって、一過性に免疫応答の一部が誘導、または活性化される可能性は否定できないものの、そのメカニズムや時間的経過等を含め、さらなる詳細な検証が必要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に所属機関を異動したことにより、異動先の所属機関において、実験台の設置工事、および実験機器の据え付け工事などの研究環境の整備に時間を要し、当初、計画していた研究が予定よりも進まなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
当初、計画していた最終年度の研究計画の通り、ビタミンCの免疫応答変化を細胞レベルで検証するため、免疫化学染色法やELIZA法を使った解析を実施する。また、細胞内の酸化状態を評価するための高感度な測定系を検討し、ビタミンCの負荷時における細胞内の酸化レベルの評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に所属機関を異動したことにより、異動先の所属機関において、実験台の設置工事、および実験機器の据え付け工事などの研究環境の整備に時間を要したため、当初、計画していた研究が予定よりも進まなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験室内への実験台の設置工事、および実験機器の据え付け工事などの作業が終了したことから、今後は、細胞培養環境や動物飼育環境の立ち上げと同時に、免疫化学染色法や細胞内の酸化状態を評価するための測定系を立ち上げ、当初、最終年度に実施予定であったビタミンCの負荷時における細胞内、組織内の免疫初期応答変化の解析を実施する。従って、次年度使用額は、これらの解析に必要となる各種分析機器等の購入予算に充当する予定である。
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