研究課題
近年、メタボリックシンドロームの発症機構に炎症性サイトカインや免疫細胞が深く関与しており、様々な生活習慣病は慢性炎症から生じるという概念が注目されている。特に、肥満・メタボリックシンドロームにおいて、免疫細胞であるT細胞が根本的な病態制御機構を司ることが報告された。我々はこれまでに、大豆イソフラボンの主成分であるゲニステインはTh1細胞から産生されるIFN-gとTh2細胞から産生されるIL-4 を抑制すること、ダイゼインから腸内細菌によって代謝され産生されるエクオールはTh2細胞から産生されるIL-13依存性のメカニズムで抗原特異的IgE抗体産生を上昇させることを報告しており、大豆イソフラボンが免疫細胞であるT細胞に関与していることを明らかにしてきた。そこで、肥満した脂肪組織における慢性炎症において、脂肪組織に浸潤するT細胞への大豆イソフラボンによる効果とそのメカニズムについて明らかにすることを試みた。C57BL/6マウスを脂質含量60%の高脂肪食にて飼育することにより作成した食餌誘導性肥満マウスに、22週齢まで大豆イソフラボン(ゲニステイン、ダイゼイン、エクオール)を経口投与した。大豆イソフラボン投与期間中、摂餌量、体重、体組成に有意差が認められないにも関わらず、ゲニステインはグルコースおよびインスリン負荷試験によるインスリン抵抗性の評価において改善傾向を示し、エクオールは脂肪組織におけるマクロファージ関連因子や炎症性サイトカインの遺伝子発現レベルを抑制させることを見出した。
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