研究課題/領域番号 |
24700837
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
萱嶋 泰成 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (90365453)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
1. 抗酸化関連遺伝子の疾患モデルショウジョウバエを確立:生活習慣病との関連を見いだした酸化ストレス応答関連遺伝子、Peroxiredoxin3 (PRDX3)について、ハエにおける相同遺伝子であるPrx3の突然変異体は、食品成分が抗酸化能を持つのか、特にPrx3を介した抗酸化能に成分が関与するのかを調べる解析ツールとして利用出来ると考えられた。Prx3の発現量低下個体を用いてPrx3の機能解析を進めたところ、Prx3発現量低下個体は酸化ストレスに脆弱となること、Prx3が加齢に伴った酸化ストレスに対する応答能の低下に関与している可能性を明らかにした。 2. 凍結乾燥ローヤルゼリー (FDRJ)の生理活性:ローヤルゼリー (RJ)の凍結乾燥品 (FDRJ)を餌に混ぜることで野生型のハエに摂取させたところ、外見上の顕著な形態的変化はみられなかったが、成長速度や成虫の寿命、産卵数について、非投与群と比較していずれも有意な亢進が認められた。FDRJを摂取したハエでは、雌特異的にdilp5 (ヒトのインスリンに相当) やTOR遺伝子の発現量が増加していることも明らかにした。 3. 新規なII型糖尿病モデルショウジョウバエの発見と食品成分の機能性検証への応用:インスリン受容体 (InR)遺伝子にP因子が挿入されている系統群のうち、系統間での交配によって新規なInR突然変異体アレルを発見した。この個体は、これまでのインスリンシグナル伝達経路に関連する遺伝子の突然変異体で頻繁に報告されている表現型と同様な表現型を示した。更に、この個体を用いてFDRJのインスリンシグナル伝達系への関与を検証する実験を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食品成分と遺伝子との関連を調べるのに適した疾患モデルショウジョウバエ系統を揃える目的について、食品成分の抗酸化能を調べるのに適すると思われる疾患モデルショウジョウバエをみいだし、論文発表することが出来た。更に、新規なII型糖尿病疾患モデルショウジョウバエもみいだし、実際に食品成分の機能性解析に用いた結果を既に論文で発表している。
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今後の研究の推進方策 |
ショウジョウバエにおけるヒトの肝臓や白色脂肪細胞に相当な組織である脂肪体に注目している。摂取した餌に応じて脂肪体の脂肪蓄積が変化すると予想されるが、この検出が簡便で定量性や再現性がある場合、投与実験によって食品成分の脂肪蓄積抑制効果を検証出来る。検出系の開発とともに、脂肪体における脂肪蓄積や代謝に関連する遺伝子の突然変異体による脂肪代謝疾患モデルショウジョウバエの開発についても検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本申請課題と関連し、平成24年度まで研究員として所属した静岡地域結集プロジェクトでは、本申請課題の基礎となる手法を中心として研究を遂行することから、静岡地域結集プロジェクトを優先的に進めることで本申請課題におけるその後の研究に多大な発展が見込まれることが確実と判断された。そのため、平成24年度は静岡地域結集プロジェクトを優先的に進め、本申請課題に係る費用が47,200に止まった。 平成25年度は、上記静岡地域結集プロジェクトでの研究成果を踏まえて実験回数を繰り返すことから、研究助手の人件費としての執行を予定している。
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