研究課題/領域番号 |
24700837
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
萱嶋 泰成 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (90365453)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
1. イミダゾール・ジペプチドの一種であるアンセリンとカルノシンの生理活性を調べるなかで、ショウジョウバエからヒトまで保存されているジペプチダーゼであるCNDP2遺伝子が発現していないショウジョウバエ突然変異体系統をみいだした。機能解析を行なったところ、野生型と比較して糖や脂質の代謝状況が異なっていることを明らかにした。 2. 茶ポリフェノールを高脂肪食ショウジョウバエに同時摂取させる実験よって、茶ポリフェノールに脂肪蓄積の抑制作用がある可能性を明らかにした。他の研究グループによって茶の抽出物を摂取することによる茶の抗酸化作用、寿命延長作用などは指摘されていたが、本研究によるポリフェノール単独投与による実験から、ポリフェノールの単独摂取では抗酸化や寿命延長作用などは生じないものの、脂肪蓄積の抑制には顕著なはたらきがあることを示した。ショウジョウバエ3齢幼虫の脂肪体を観察することで、食品成分の脂肪蓄積への関与を判定するこの方法をアッセイ系として確立したことから、今後は茶ポリフェノールに限らず、様々な食品成分に対しても脂肪蓄積抑制作用の有無について検証できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
産学連携が順調に進み、当初の予想を超えて多くの企業や研究グループと提携出来、試料や情報の提供が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
茶ポリフェノールによる脂肪蓄積の抑制作用をショウジョウバエで示すことが出来たことから、その成果を論文発表するとともに、このときにみられた蓄積抑制は脂肪の吸収が抑制されたことによるものではないかという仮説が得られた。この仮説について、更に実験で検証し、明らかにしていく。新規なジペプチド分解酵素の突然変異体について、機能解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、本研究課題と関連し、研究員としても所属していた静岡地域結集プロジェクトにおいて、本研究課題の基礎となる手法を中心として研究を遂行することから、静岡地域結集プロジェクトを優先的に進めることで本研究課題におけるその後の研究に多大な発展が見込まれることが確実と判断された。そのため、平成24年度は静岡地域結集プロジェクトを優先的に進めたため、本申請課題に係る費用が47,200に止まった。 平成25年度については、当初の予定通りに人件費としての執行を行なっていたものの、本研究課題の達成を急ぐ連携企業より人件費の援助があったため、予定していた執行額を割り込む437,859円となった。 所属先が変更となったことから、備品や消耗品などを新規に購入する必要があるため、これまでの年度と比較して執行額が増えることは確実である。しかしながら、変更に伴って本申請課題の達成も遅れることが予想されることから、事業機関を平成27年度まで、1年間延長することを予定している。
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