研究課題/領域番号 |
24700838
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
伴野 勧 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 客員共同研究員 (60554011)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルデヒド / 酸化ストレス / LC/MS / 脂質過酸化 / 分析科学 |
研究概要 |
酸化ストレス環境下で増加する脂質過酸化物由来のアルデヒド化合物は心血管疾患や神経変性疾患、がんなどの様々な酸化ストレス関連疾患の発症や進行に深く関与する危険因子であることが最近明らかとなってきた。しかし、4-ヒドロキシ-2-ノネナールやマロンジアルデヒドなどの一部のアルデヒド化合物についてはこれら疾病との関連が報告されているが、他の多くのアルデヒド化合物については酸化ストレス関連疾患の発症野心高との関連性についてほとんど明らかとなっていない。本研究では任意の生体試料中より未知・既知のものも含めてアルデヒド化合物をLC/ESI-MS/MS(SRM)により網羅的に解析する方法の開発を進めている。また、本解析法を用いて酸化ストレス関連疾患の早期診断マーカー候補の探索を行う。24年度は、サンプル抽出・調製条件、LC/MS解析条件、データ処理法などについて検討した。4-ヒドロキシ-2-ノネナールやヘキサナール、グリオキサールなどのアルデヒド標準品をアルデヒド基やケトン基と特異的に反応するダンシルヒドラジン(DH)を用いて誘導体化し、DH誘導体に特徴的なフラグメントイオン(m/z 236.1)を利用したSRMにより、アルデヒド化合物の網羅的解析を試みた。その結果、本法により、アルデヒド化合物の高感度・網羅的解析が可能であることが明らかとなった。また、リノール酸の脂質過酸化反応の分解過程でのアルデヒド化合物の生成を確認した結果、リノール酸由来のアルデヒドを高感度網羅的に検出・定量することが可能であり、本法が酸化ストレスにより生成されるアルデヒド化合物の網羅的解析に有効であることが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は、LC/ESI-MS/MS(SRM)によるアルデヒド化合物の網羅的解析法の開発を目的として、サンプル抽出・調製条件、LC/MS解析条件、データ処理法の検討を行った。その結果、アルデヒド標準品をアルデヒドやケトン基に特異的に反応するダンシルヒドラジン(DH)を用いて誘導体化し、DH誘導体に特徴的なフラグメントイオン(m/z 236.1)を利用したSRMにより、アルデヒド化合物を高感度・網羅的に解析することができた。また、脂質過酸化物由来のアルデヒド化合物の検出を目的としてリノール酸を生理的酸化ストレス条件化で酸化させたところ、生成したアルデヒド化合物を網羅的に解析することができた。これらの結果より、本法は、酸化ストレス関連疾患早期診断マーカー候補としてのアルデヒド化合物を高感度・網羅的に解析することに有用であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
酸化ストレス関連疾患の早期診断マーカー探索のための網羅的アルデヒド解析法の開発とその応用を目的として、25年度は、本法を用いて培養細胞を酸化ストレス条件下において培養後、生成されるアルデヒド化合物の消長を網羅的に解析する。例として、フォルボールエステルによる活性化好中球様HL-60細胞により脂質過酸化反応を惹起させ、アルデヒド化合物の消長を確認する。また、様々な酸化ストレス環境下における培養細胞および培養液中のアルデヒドの解析結果からアルデヒドマップを作成し、アルデヒド化合物と酸化ストレスとの相対的な出現頻度を可視化する。また、本法を用いて食品中成分の酸化ストレス制御機能評価を行い、有効成分の探索も行う。さらに本結果を疾病モデル動物を用いた疾病早期診断マーカー・治療ターゲット候補の探索に応用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は、本アルデヒド解析法を用いて培養細胞を酸化ストレス条件下において培養後、生成されるアルデヒド化合物の消長を網羅的に解析する。好中球様HL-60細胞などの培養細胞を様々な酸化ストレス条件下におき、生成されるアルデヒド化合物の消長を調べるため、細胞培養実験器具(細胞培養液、細胞培養用dish費等)、LC/MS解析費(LC/MS用高純度有機溶媒、カラム等)、その他一般試薬等が必要となる。また、本解析法を用いて食品中成分の酸化ストレス制御機能解析および探索のために使用する有機溶媒、試薬等に研究費を使用する。
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