研究概要 |
研究は以下の2つを同時並行で行った。 1)cytochrome oxidase subunit 2 (COX2) のアルギニンメチル化の意義の解明 昨年度までに我々は、加齢および高脂肪食によって発現量が減少するADMA化タンパク質としてcytochrome oxidase subunit 2 (COX2) を同定した。今年度は、このCOX2がin vitroでADMAされるかどうか、また、そのADMA化がcytochrome oxidaseの活性に及ぼす影響を検討するため、リコンビナントCOX2の発現系の構築の検討を行った。当初は、アミノ酸配列の全長を発現させることを試みたが、本来、ミトコンドリアに局在するタンパク質であるためか、全長をGST融合タンパク質発現用のベクターpGEX6-1に全長を挿入しても大腸菌で発現させることは、できなかった。また、ベクターをpTD1に変更して無細胞発現系を使用しても発現することはできなかった。そこで、COX2の全配列のうち、ADMA化され得る箇所を検討し、ペプチド断片で発現させることとした。その結果、100-145aa, 146-174aa, 175-228aa, 181-228aaの4種類のペプチド断片を発現させることができた。今後、これら断片がin vitroでADMA化されるか否かについて検討していく予定である。 2)ショ糖添加高脂肪食によって誘導した糖尿病モデルマウスにおける脳内ADMA合成・分解系の変化について 昨年度採取したマウス大脳皮質においてCARM1が発現していること、また、その発現量は加齢により有意に上昇し、高脂肪食摂取は影響しないことを明らかにした。また、長期に高脂肪食を摂取することにより大脳皮質のPRMT3の発現量が減少することが示唆された。
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