研究課題/領域番号 |
24700842
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
徳永 美希 福岡女子大学, 文理学部, 助手 (90610238)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | うま味 |
研究概要 |
これまでの研究で、煮干しだしから抽出した揮発性成分の水溶液はうま味を強く惹起することが示され、それには嗅覚が関わっている可能性を示唆してきた。しかし、だしの揮発性成分水溶液によるうま味認知機序は未だ明らかにされていない。本課題では、うま味認知機序の一端を明らかにすることを目的としている。 平成24年度は、官能試験と脳賦活化部位の測定を組み合わせて行った。官能試験の結果、うま味は、ノーズクリップ未着用の場合、だしの揮発性成分水溶液群>アミノ酸核酸混合液群=蒸留水群の順に強く感受された(p<0.001)。ノーズクリップ着用の場合、うま味の強さは、だしの揮発性成分水溶液群と蒸留水群とで有意な差は認められなかった。ノーズクリップ未着用の場合、だしの揮発性成分水溶液群では、扁桃体と海馬、背外側前頭前野が活性化することが示唆された。しかし、ノーズクリップ着用の場合、だしの揮発性成分水溶液群の扁桃体と海馬、背外側前頭前野に活性化は認められないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
官能試験の結果と脳賦活化領域測定の結果をおおむねまとめることができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の官能試験と脳賦活化領域の測定を補完するために継続して測定を行う。試料は、煮干しだしからエバポレーターを用いて抽出しただしの揮発性成分の水溶液および煮干しだしと同じ組成のグルタミン酸とイノシン酸などのうま味成分を含むアミノ酸・核酸混合液、蒸留水(対照)である。ノーズクリップを着けた場合と着けない場合の両方で上述の測定を行う。うま味や匂いの感じ方を5段階で評価する。脳賦活化領域の測定は、機能的磁気共鳴画像(fMRI)法を用いて測定する。得られたfMRI画像はMATLAB上で動くSPM5ソフトウェアを用いて解析する。また、25年度は、パス解析により脳内の伝達経路を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
fMRIの測定は岐阜の西美濃厚生病院で行うため、岐阜への交通費を旅費として使用する予定である。 また、うま味成分の調整のときに精密な天秤が必要なため、天秤を購入する予定である。また、5’-イノシン酸ナトリウムなどの核酸関連の試薬を購入する予定である。 本研究はヒト試験であり、今年度も被験者を募集して測定するため、謝金として計上する予定である。測定にあたり、放射線科スタッフ4名への謝金も計上する予定である。 本課題で得られた成果は米国国際誌American Journal of Clinical NutritionあるいはJournal of Nutritionに投稿するため、英文校閲と論文投稿に使用する予定である。
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