研究課題
これまでの研究で、煮干しだしから抽出した揮発性成分の水溶液はうま味を強く惹起することが示唆され、それには嗅覚が関わる可能性を示唆してきた。しかし、だしの揮発性成分によるうま味認知機序は、未だ明らかにされていない。本課題では、うま味認知機序の一端を明らかにすることを目的としている。平成25年度は、平成24年度に追加して官能試験と脳の賦活化部位の測定を組み合わせて行った。官能試験の結果、うま味は、ノーズクリップ未着用の場合、だしの揮発性成分水溶液群>アミノ酸核酸混合液群=蒸留水群の順に強く感受された(p<0.001)。ノーズクリップ未着用の場合、うま味の強さは、だしの揮発性成分水溶液群と蒸留水群とでは有意な差は認められなかった。ノーズクリップ未着用の場合、だしの揮発性成分水溶液群では、扁桃体と海馬、背外側前頭前野が活性化することが示唆された。しかし、ノーズクリップ着用の場合、だしの揮発性成分水溶液群の扁桃体と海馬、背外側前頭前野に活性化は認められないことが示唆された。クラスター分析の結果、背外側前頭前野のBOLDシグナルの動きは扁桃体の動きに近いことが示唆された。脳内での経路は不明だが、だしの揮発性成分水溶液のうま味は、匂いの情報から脳内でうま味を判断して生じている可能性が示唆された。
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Open Neutraceut Journal
巻: 6 ページ: 45-48