糖尿病の食事療法において、炭水化物を多く含む料理は1回あたりの摂取量が多く総エネルギー摂取量に影響するため、正確なエネルギー・栄養素等摂取量の把握(以下、食事評価)が重要である。本研究では、主食料理について栄養素等摂取量を推定するマニュアルを開発し、栄養士・管理栄養士を対象に有用性ならびに有効性について検討した。マニュアルの主な特徴は、料理の主材料とトッピングを組み合わせて、料理単位で食事評価をすることであり、基準の画像(主材料/トッピング、容器の大きさ)と基準栄養素量(標準的な重量とそのエネルギー・栄養素量)のリストから構成される。基準料理の重量などいくつかの修正が必要であるが、有用性ならびに有効性が示唆された。現在、基準の画像、料理リスト等の見直しと改訂に引き続き、主食以外の料理(主菜、副菜、他)についても開発中である。今後、臨床における有用性についても検討する予定である。 さらに、スマートフォンで撮影した料理画像を用いた食事評価の正確さについても検討した。材料を全て実測して調整した料理(エネルギー・栄養素量の真値が明らか)を用意し、その画像をスマートフォンのアプリ(DialBetics)に登録して、料理画像を見て管理栄養士がエネルギー・栄養素量を算出した(推定値)。料理名は比較的正しく推定された。アプリを用いた料理名およびエネルギー・栄養素等摂取量の推定は料理グループとして有効であることが示唆された。今後、料理の種類を増やし、個々の料理の正確な評価や、評価者間の推定の正確さについても検討する必要がある。
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