研究概要 |
食品の非可食部に由来するポリフェノールの脂質代謝調節を明らかにすることを目的とし、H24年度はラッカセイ種皮から3量体プロアントシアニジンを単離し構造決定するとともに、プロアントシアニジンの重合度に比例してコレステロールミセル不溶化能が上がることを示した。H25 年度はラッカセイ種皮から単離したプロアントシアニジンを用いて、ラッカセイ種皮の血糖上昇抑制について検討することを目的とした。多糖類は、腸管で糖質分解酵素により単糖に分解された後、トランスポーターを介して体内に吸収されることから、ラッカセイ種皮ポリフェノールの糖質分解酵素に及ぼす影響について検討した。 デンプン、マルトース、スクロースをラッカセイ種皮抽出液とともにラットに投与すると、いずれの糖を投与した場合も血糖上昇抑制作用が認められた。そこで、α-アミラーゼ、マルターゼ、スクラーゼに対する(+)-カテキン(1量体)、プロシアニジンA1(2量体)、epicatechin-(4β→6)-epicatechin(4β→8,2β→O→7)-catechin (EEC、3量体)の阻害活性を調べた。α-アミラーゼ阻害活性はEECにのみ認められたが、マルターゼ阻害活性は (+)-カテキン、プロシアニジンA1、EECのいずれにも同程度認められた。スクラーゼ阻害活性は、EECがプロシアニジンA1および(+)-カテキンよりも強かった。以上のことから、ラッカセイ種皮に含まれるプロアントシアニジンは血糖上昇抑制作用を有すると共に、プロアントシアニジンの重合度の違いにより、糖質分解酵素の阻害活性が異なることを見い出した。 以上のように、食品加工の際に廃棄されるラッカセイ種皮に含まれるポリフェノールの機能性を、in vivoにおける実験で明らかにするとともに、ポリフェノールの構造と機能性の関係について新たな知見を得た。
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