研究課題/領域番号 |
24700850
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
池田 涼子 仁愛大学, 人間生活学部, 准教授 (80352805)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 鉄欠乏性貧血 / 耐糖能異常 / 生体内相互作用 / 基礎栄養学 |
研究概要 |
平成21~22年度採択課題「鉄欠乏性貧血における耐糖能低下とその機構に関する研究(課題番号21700777)」において、鉄欠乏ラット生体内の脂質過酸化により誘導される炎症性サイトカインの増加がラットの血糖値上昇およびインスリン抵抗性に関与すると推察されたことから、Wistar系II型糖尿病モデルラットとして一般的なGKラット(系統名GK/Jcl)を用い、高い抗酸化効果を有するプロビタミンAカロテノイドとして食品中に豊富に含有されるβ-カロテンをラット飼料に配合し、鉄欠乏ラットの生体内脂質過酸化の抑制とアディポサイトカインの変動および耐糖能に及ぼす影響について検討した。当初の予定では平成24年度9月頃に動物の飼育を予定していたものの、研究設備の都合により飼育開始が遅れ、以降の計画に遅延が生じている。 生後4週間の幼若GKラット24匹を正常食群、鉄欠乏食群、正常食β-カロテン摂取群、鉄欠乏食β-カロテン摂取群の4群に分け、35日間(5週間)の飼育観察を行った。各群の飼料はAIN-93G組成に基づき調製し、鉄欠乏食群・鉄欠乏食β-カロテン摂取群には飼料配合中のミネラル混合から鉄を除去した鉄欠乏食を投与した。また、正常食β-カロテン摂取群、鉄欠乏食β-カロテン摂取群の飼料にはビタミンAを除去したビタミン混合を使用し、代わりにラットの理想配合食中レチノール当量に相当するβ-カロテンを添加した。 現在は飼育を終了し試料分析の途上にあるものの、鉄欠乏ラットの血糖値のデータに関してはβ-カロテンの経口投与により減少傾向を示すことが観察された。引き続き、食餌性鉄欠乏における脂質過酸化抑制がラットの炎症性サイトカインおよび耐糖能に及ぼす影響についての解析を継続し、鉄欠乏におけるインスリン抵抗性の機序を解明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究活動に使用する学内施設の研究スペース・設備等に関して、動物飼育室等の実験設備の使用スケジュールが平成24年度より開始された本学科4年生の卒業研究の活動を優先する状況にあり、本課題の実験の進捗状況は全体的に遅延している。 次年度以降は、研究設備を共有する教員・学内スタッフ間で実験スケジュールに関するより綿密な調整をはかり、効率的な設備の運用および研究活動の実施に努める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
鉄欠乏により誘導される炎症性アディポサイトカインの増加と、インスリン感受性サイトカインの減少にともなう耐糖能低下機構の解明を目的として、申請当初の研究計画調書に則り実験1:鉄欠乏ラットの生体内脂質過酸化および炎症性サイトカインがインスリン抵抗性に及ぼす機構、実験2:鉄の欠乏状態がインスリン抵抗性に及ぼす影響、実験3細胞内ビタミンA代謝とインスリン抵抗性に及ぼす鉄の影響について検討する計画について現在のところ、予定の変更はない。但し、本課題の遂行に遅延が生じており、課題の進捗状況に応じて当初2012年、2013年に分けて実施予定であった実験を年度内に連続して行うことを計画している。上記の実験1については既に試料分析の段階にあることから、平成25年度9月末までにデータ解析を終了し、当年度11月中に実験2の検討を開始する予定である。 実験2の推進方策 GKラットに鉄濃度を段階的に制限した試料を投与し、生体内鉄濃度と慢性的な軽度の鉄欠乏にともなうビタミンA代謝の変動がインスリン感受性サイトカイン及びインスリン抵抗性に及ぼす影響について検討する。 生後4週間の幼若GKラット24匹を正常食群、鉄欠乏食群、鉄1/2配合食群、鉄1/4配合食群の4群に分け、5週間の飼育観察を行う。各群の飼料はAIN-93G組成に基づき調製し、鉄欠乏食群・鉄1/2配合食群・鉄1/4配合食群の飼料には鉄を除去したミネラル混合を配合し、さらに鉄1/2配合食群・鉄1/4配合食群の飼料中鉄濃度は、AIN-93ミネラル混合中の鉄給源と同じクエン酸鉄で調整する。血糖値の測定は毎回16:00~16:30までの間に行い、給餌は18:00~翌朝8:00までの時間制限を厳守する。飼育終了後は血清および肝臓を採取し、アディポサイトカイン、過酸化脂質、鉄およびビタミンA動態指標、糖代謝関連酵素活性を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
GKラット24匹を購入、飼育予定である。また動物飼料、アディポサイトカイン測定用のELISAキットなどの試薬、消耗器具、試料調整の為の多目的微量遠心機、セラミックホットプレート、ウォーターバスなどの購入を予定している。 旅費、人件費・謝金等については現在のところ特に予定していない。 なお、昨年度よりGKラットの販売価格が改定されたため、実験動物に関しては当初に予定していた金額を若干、上回る支出が見込まれる。
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