研究課題/領域番号 |
24700852
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
村上 泰子 福山大学, 生命工学部, 講師 (90326413)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | NASH / 非アルコール性脂肪性肝炎 / n-3系脂質 / コリンメチオニン欠乏 |
研究概要 |
n-3系脂質の脂質代謝改善効果,線維化抑制効果,肝炎症抑制効果に着目し,肝リン脂質脂肪酸動態と病態との関連をNASH病態モデルを用いて明らかにすることを目的としている。 コリンメチオニン欠乏(CMD)食を用いたNASH病態モデルの肝硬変成立には長期間の飼育を要するため,平成24年度においては本実験のうち動物飼育ならびに経時的サンプリングを中心に行った。すなわち,マウスは「コントロール群」「NASH群」と「NASH+n-3系脂質群」の3群を設け,肝線維化が顕著となる8週まで飼育し,経時的なサンプリングを行った。 飼育開始1週間後よりNASH群、NASH+n-3系脂質群ともに、MCD食飼育に特徴的な体重減少が認められたが、体重および体重に対する肝重量比において、両群間に差は認められなかった。血液生化学検査のうち、肝障害指標である血漿ALT値は各観察時点においてコントロール群およびNASH+n-3系脂質群に比べNASH群で有意の高値を示した。NASH+n-3系脂質群の血漿ALT値はコントロール群に比べわずかに高値を示していたが、有意差は認められなかった。血漿AST値においても同様の結果が観察され、MCD食によるNASH病態モデルへのn-3系脂質補給が肝障害の抑制に作用していることが示された。血漿中総ビリルビン濃度はNASH群、NASH+n-3系脂質群ともに上昇傾向にあったが、特にn-3系脂質を投与していないNASH群ではコントロールに比べ有意の高値を示した。血漿中の総タンパク、アルブミン、アルカリフォスファターゼ、コリンエステラーゼ濃度において、NASH群とNASH+n-3系脂質群との間に明らかな差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は動物飼育ならびに経時的サンプリングを主としていたが、予定通り実施した。主要な項目について血液生化学検査を実施し、n-3系脂質による肝障害抑制効果を確認した。今後は線維化への影響ならびに脂質代謝に関わる解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度中に得られた試料を用いて,CMD食を用いたNASH病態モデルにおける肝リン脂質脂肪酸動態の経時的変化と,n-3系脂質投与による肝リン脂質脂肪酸動態,脂質酸代謝系,NASH病態(肝障害・肝線維化)に与える影響とついて検討を行う。肝リン脂質脂肪酸動態ではこれまで着目していなかったリン脂質分子種とその脂肪酸組成に与えるn-3系脂質の影響を観察する。 主な測定項目は次の通り ①脂質代謝指標 :脂肪酸定量・組成(肝臓総リン脂質・ホスファチジルコリン・ホスファチジルエタノールアミン,中性脂肪),肝脂肪蓄積量,SREBP-1c mRNA・PPARαmRNA発現量 ②肝障害指標等:血清ALT,ALT値,アルブミン他 ③肝組織像:線維化,脂肪滴
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は試料分析のための試薬購入に充てる。
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