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2012 年度 実施状況報告書

日常食品に含まれるビタミンB12類縁体の解明とそれが生体に及ぼす影響について

研究課題

研究課題/領域番号 24700856
研究機関東京農業大学短期大学部

研究代表者

谷岡 由梨  東京農業大学短期大学部, その他部局等, 助教 (30553250)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードビタミンB12 / ビタミンB12類縁体 / シュードB12 / 食用貝類 / 発酵食品
研究概要

我が国のビタミンB12(B12)供給源は,貝類であるが,ヒトにおいてビタミンとして機能しないと言われているシュードB12などのB12類縁体の存在が示唆されており,食品学・栄養学の観点からB12類縁体を解明することは非常に重要である.食品中のB12量は,日本食品標準成分表(成分表)を引用するが,成分表で採用されている方法は,B12を生育必須因子として要求するLactobacillus delbrueckii ATCC7830の増殖度から定量される.本菌はデオキシリボシドに反応するので補正しているがB12類縁体にも作用するため,総B12関連化合物量となり真のB12量を反映していない可能性がある.したがって,日常食品,特に食用貝類におけるB12類縁体を解明し,その存在割合を明らかにすることを目的とした.
貝類及び発酵食品のB12関連化合物の抽出と定量は成分表分析マニュアルに準じて行い,B12類縁体の解明にはLCMSMSを用いた.可食部における総B12関連化合物量は,巻き貝が100gあたり0.2~4.5μgに対し,二枚貝は15.8~33μgと二枚貝にB12関連化合物が多量に含まれておりいずれも成分表記載値と同程度であった.しかし,巻き貝は,可食部にはB12関連化合物量が微量であったが非可食部にあたる内臓に多量に蓄積されていることが明らかとなった.貝類のB12関連化合物をLCMSMSで精密に分析したところ,アサリは真のB12のみであったが,その他の貝類には数%~50%程度ヒトにおいて生理活性を有しないB12類縁体が含まれていることが判明した.また,貝類内臓を原料とした塩辛には,多様なB12類縁体が生成されていた.したがって,成分表に記載されているB12量は真のB12量を反映しておらず,一部の食品については精密に分析する必要がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究目的は,貝類可食部及び非可食部と発酵食品におけるB12類縁体を解明しその存在割合を明らかにすること,真のB12量の補正,貝類におけるB12類縁体の生理機能の解明,B12類縁体の標品を作製することであった.
貝類におけるB12類縁体の解明と存在割合および真のB12量の補正に関しては,おおむね順調に進み日本食品標準成分表に記載されているB12値が真のB12量を反映していないことを明らかにした.
一方でB12やB12類縁体を多量に含む貝類における補酵素型B12の割合,B12類縁体の生理機能については現在検討中である.B12類縁体の標品作製は,B12下方配位子に相当する試薬が市販されておらず合成から必要なものが多いため,B12類縁体の生体への影響は,作製方法が確立されているシュードB12を用いて評価する予定である.

今後の研究の推進方策

貝類とそれに関連する食品中のB12類縁体を分析してきたが,B12類縁体の生成には微生物が関与していると考えられるため,あらたに発酵食品(ヨーグルト,チーズ,後発酵茶)中のB12類縁体について解析する.
B12やB12類縁体を多量に蓄積している貝類のB12類縁体の由来やその生理機能を明らかにすることは,B12類縁体の栄養欠点を克服するための基礎的検討として重要である.生理機能の基礎的検討を行うことで,B12類縁体と真のB12との生理活性の違い等を明らかにし,貝類の補酵素型B12の分析およびB12依存性酵素活性を測定する.
B12類縁体の標品作製は,B12下方配位子に相当する試薬が市販されておらず合成の必要なものが多いため,B12類縁体の生体への影響は,作製方法が確立されているシュードB12を用いて評価する予定である.

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 食用貝類に含まれるビタミンB12化合物の同定と真のB12量の補正

    • 著者名/発表者名
      谷岡由梨、竹中重雄、古庄 律、薮田行哲、中野 長久、渡辺 文雄
    • 学会等名
      ビタミン学会
    • 発表場所
      長良川国際会議場 岐阜
  • [学会発表] 食用貝類に含まれるコリノイド化合物の特性

    • 著者名/発表者名
      谷岡由梨、竹中重雄、古庄 律、薮田行哲、中野 長久、渡辺 文雄
    • 学会等名
      食品科学工学会
    • 発表場所
      東京農業大学 東京

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公開日: 2014-07-24  

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