本研究は、大学生の朝食欠食と関わる要因について、大学生の生活習慣、朝食摂取に対する意識等の大学生自身の要因のみならず、子どもの頃に親が子どもに対してとった態度、親による食育実施状況等、保護者側の要因も含む様々な側面から明らかにすることを目的としている。 本年度は、子どもに対する親の態度を測定する目的で開発されたCaregiver’s Feeding Styles Questionnaire(CFSQ)の調査票について日本語版を作成し、その再テスト信頼性及び併存的妥当性について検討を実施した。また、CFSQ日本語版の項目を含む質問紙調査を大学生及びその親に実施し、大学生自身の生活習慣や朝食欠食に対する意識、その親の朝食摂取状況、教育歴、就業形態、食育実施状況、大学生が子どもの頃の子どもに対する親の態度等と大学生の朝食欠食との関連について男女別に検討を行った。集計結果については対象者に結果返却を行った。検討の結果、男子学生の朝食欠食には一人暮らし、喫煙習慣、1時以降の就寝、朝食を欠食しても良いとの考え、母親の朝食欠食が関連していた。一方、女子学生の朝食欠食には、一人暮らし、1時以降の就寝、朝食を欠食しても良いとの考え、夕食~就寝までの間の間食、食事を楽しみにしていない、母親の朝食欠食が関連しており、逆に母親がパートタイム勤務の人では、朝食欠食者が少ないという結果が得られた。CFSQによる子どもの頃の母親の態度と大学生の朝食欠食との関連については、男女ともに有意な関連は見られなかった。以上の結果から、大学生の朝食欠食には男女共に不健康な生活習慣や意識、母親の朝食欠食が関連しており、朝食欠食の予防・是正には、大学生における生活習慣の改善、及び大学生やその保護者へ朝食を毎日摂取することの重要性について再認識させる必要性が示唆された。
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