研究課題/領域番号 |
24700860
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
齋藤 京子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20507389)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血中ビタミンC濃度 / SVCT1 / SVCT2 / GSTs |
研究実績の概要 |
近年、抗酸化作用を有するビタミン類やミネラル類が加齢に影響を与えることが主として基礎的な栄養学研究によって解明されつつある。疫学研究では、抗酸化ビタミン(ビタミンE、ビタミンC、βカロテン、葉酸等)とがん、心疾患、脳血管疾患、動脈硬化症等のさまざまな生活習慣の罹患リスクとの関連を明らかにしている。高齢者では、ビタミンC等の抗酸化ビタミンによる認知症やうつ、アルツハイマー病への関与が報告されている。 本研究は、基礎的研究で加齢に影響を及ぼす物質として注目を浴びている抗酸化ビタミンの1つであるビタミンCに注目した。高齢者の血中ビタミンC濃度と身体・運動機能との関連を調べた横断研究では、血漿ビタミンC濃度と運動機能(特に握力および開眼片足)との間に有意な正相関がみられた。また近年の疫学研究では血中ビタミンC濃度が高いほど循環器疾患罹患のリスクが低く、血圧も低いという逆相関が報告されている。しかしビタミンCの生体内のメカニズムは、まだ不明な点も多い。 近年の研究では、グルタチオンS-トランスファーゼ(GSTs)及びナトリウム依存性ビタミンC輸送体(SVCT1及びSVCT2)等のビタミン関連遺伝子多型が血中ビタミンC濃度に関与している可能性が示唆されている。そこで本研究は日本人のビタミン関連遺伝子多型別にみたビタミンC摂取量及び血中濃度との関連を明らかにすることを目的とした。 特に本年度は日本人におけるビタミンC関連遺伝子多型の出現頻度等の分析準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は新たに調査を行わず、すでに2011年に板橋区で行った「お達者健診」の受診者909人の血中ビタミンC濃度の測定を行った。そのため2011年のお達者を対象にナトリウム依存性ビタミンC輸送体(SVCT1、SVCT2)、グルタチオンS-トランスファーゼ(GSTs)等の遺伝子多型を東京都健康長寿医療センターと一緒に分析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
お達者健診は65歳以上の高齢者を対象としている。2011年に行ったお達者健診受診者は、血中ビタミンC濃度を測定した。これら血中ビタミンC濃度測定者に対してビタミン関連遺伝子多型を調べることで、高齢者におけるビタミン代謝関連遺伝子多型別にみた血中ビタミンC濃度との関連を明らかにすることができる。また地域住民の血中ビタミンC以外のビタミン(βカロテン、ビタミンE等)の予備調査を行っていることから、今後、サンプル数を増やしβカロテン、ビタミンE等と身体運動機能との関連を調べる可能性もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年1月20日より、産前産後休暇・育児休業による中断のため。
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次年度使用額の使用計画 |
DNA分析等の費用や人件費、健診費用、国内外での学会発表、論文投稿料等が考えられる。
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