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2013 年度 実施状況報告書

腸管免疫賦活作用をターゲットとした米抽出物によるアレルギー予防の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24700863
研究機関岡山県農林水産総合センター生物科学研究所

研究代表者

川上 賀代子  岡山県農林水産総合センター生物科学研究所, その他部局等, 研究員 (00505935)

キーワード食品機能 / 生理活性 / 免疫学 / IgA / パイエル板 / 腸管免疫 / 米 / Th1/Th2
研究概要

腸管免疫系は、体内に侵入した有害微生物、病原菌などを認識し、生体を守る役割を果たしている。腸管にはパイエル板のような特殊な免疫組織が点在し、パイエル板から産生される免疫グロブリンA(IgA)が、腸管免疫において重要な役割を果たしている点に着目した。一方で、日本では食生活の欧米化により、1960年代中頃から米の生産量が消費量を上回るようになってきており、米の高付加価値化と有効利用が急務である。このため本研究は、米由来のタンパクや酵素分解ペプチドの腸管免疫系に関わる機能について、IgA産生亢進作用を指標として評価を行い、最終的には、米由来の機能性食品素材の開発を目指している。
昨年度の結果から、米国産玄米タンパク抽出物に腸管免疫賦活作用があることが明らかとなった。本年度は、活性成分の同定とマウスを用いた腸管免疫賦活作用の評価を行った。米国産玄米タンパク抽出物を限外ろ過膜により分画し、活性成分の同定を試みた。抽出物を分子量30,000、10,000、3,000で分画し、マウスパイエル板細胞のIgA産生量を調べた結果、分子量30,000以上の画分に活性があることが明らかとなった。
マウスに玄米タンパク抽出物を20 mg/kgまたは200 mg/kgの投与量で3週間経口投与を行った。糞中のIgA量を測定した結果、20 mg/kg投与群でコントロール群に比べてIgA量が高い傾向がみられた。また、パイエル板細胞培養上清中のIgA量は20 mg/kg投与群でIgA量が高い傾向がみられた。IL-12やIL-6産生量はコントロール群に比べて玄米タンパク抽出物投与群で上昇していた。脾臓細胞上清中のIFN-γ産生量はコントロール群に比べて上昇傾向を示しており、Th1/Th2バランスも上昇していることから、玄米タンパク抽出物摂取により、アレルギー改善効果が期待された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は下記の内容で実験を行い、研究は概ね順調に進展している。
1.活性成分の同定、構造解析
IgA産生誘導活性の認められた米国産玄米タンパク抽出物を限外ろ過膜により分画し、活性成分の同定を試みた。抽出物を分子量30,000、10,000、3,000で分画し、マウスパイエル板細胞のIgA産生量を調べた結果、分子量30,000以上の画分に活性があることが明らかとなった。さらに、分子量30,000以上の画分をゲル濾過カラムで分画し、各フラクション中のタンパク量と全糖量を調べた。その結果、タンパクはFr.13、糖はFr.26に最も多く含まれていることがわかった。各フラクションのIgA産生量を調べた結果、Fr.11からFr.14とFr.25からFr.27に活性成分が含まれていると予想された。
2.マウスを用いた腸管免疫賦活作用の評価(in vivo)
5週齢の雌性BALB/cマウスを1週間予備飼育後、3群(n=10-11)に分け、コントロール群には生理食塩水、玄米タンパク抽出物投与群には、20 mg/kgまたは200 mg/kgの投与量で3週間経口投与を行った。体重の群間差は認められず、玄米タンパク抽出物摂取による体重への影響はなかった。糞中のIgA量を測定した結果、20 mg/kg投与群でコントロール群に比べてIgA量が高い傾向がみられた。また、パイエル板細胞培養上清中のIgA量は20 mg/kg投与群でコントロール群に比べてIgA量が高い傾向がみられた。IL-12やIL-6産生量はコントロール群に比べて玄米タンパク抽出物投与群で上昇していた。脾臓細胞上清中のIFN-γ産生量はコントロール群に比べて上昇傾向を示しており、一方、IL-4は低下傾向を示し、Th1/Th2バランスも上昇していることから、玄米タンパク抽出物摂取により、アレルギー改善効果が期待できると考えられた。

今後の研究の推進方策

本年度の研究から、米国産玄米タンパク抽出物に免疫賦活作用があることが明らかとなった。次年度はアレルギーモデルマウスを用いた抗アレルギー作用の評価を行う。
食物アレルギーモデルマウスに対する影響の評価
BALB/cマウスに米タンパク抽出物を28日間経口投与する。投与開始14日目と21日目に卵白アルブミン(OVA)を腹腔内投与し、アレルギーを惹起する。経日的に糞を採取し、最終日には採血と解剖を行う。パイエル板細胞、脾臓細胞を培養し、培地上清中のIgA、IgEや各種サイトカイン(IFN-γ、IL-4、IL-12、IL-6)、糞中のIgAや血中のIgA、IgE、OVA特異的IgEをELISA法により測定し、アレルギー症状の改善がみられるか評価する。
さらに、これまで得られた研究成果を取りまとめ、学術論文に投稿する。

次年度の研究費の使用計画

3月より産前休暇を取得したため。
動物実験の消耗品に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Effect of brown rice extracts on immune responce in OVA-immunized mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Kayoko Kawakami, Hitomi Mori, Misugi Uraji, Tadashi Hatanaka, Hideyuki Ito
    • 学会等名
      ISNFF 2013 Annual Conference & Exhibition
    • 発表場所
      Howard Civil Service International House, Taipei, Taiwan
    • 年月日
      20131105-20131109

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公開日: 2015-05-28  

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