研究課題
本研究の目的は、小学校教員を目指す教育学部の理科専修以外の学生に対して効果的な天文教育を行うための研究開発を行うことである。平成24年度は、全国15校の国公私立大学の教育学部学部生及び大学院修士課程に在籍する非理科生を対象に、彼らが「①小学校理科の指導に関してどのような問題を抱え、何を求めているのかを知るための調査」及び「②小中学校で教える天文分野に関する理解度調査」を行った。これらの調査により、非理科生の知識・理解度、及び科学的な説明力の有無を定量的に評価し、非理科生の天文教育を改善するための授業方法のヒントや情報を得ることが目的である。現在、15大学分の集計作業を終え、詳細な解析を行っている。回答者数はのべ2031人である(理科生も含む)。これまでの結果を以下にまとめる。①小学校理科の指導に関してどのような問題を抱え、何を求めているのかを知るための調査小学校学習指導要領(理科)に示されている31項目のうち、回答者が将来小学校で理科を教える際にどのような内容を苦手と感じているかを調査した。結果、各項目間で大きな差はなかった。詳細な解析を今後進める。②小中学校で教える天文分野に関する理解度調査月の満ち欠けについての現象を児童に分かり易く伝える力がどの程度あるかを調査した。この質問は自由記述である。結果は、説明の出来る学生はわずか21%であった。残り79%の学生は、説明が出来ないという結果となった。
2: おおむね順調に進展している
全国の小学校教員志望学生に対して実施した調査については、平成24年度に集計作業を終えている。また、①、②以外にも、本研究に関する他の調査と教育実践を行った。東京学芸大学の非理科生を対象に、③2012年5月21日に起きた金環日食の観望会を実施し、その教育効果をはかった。この研究については教育実践により得た結果をまとめ、学会誌へ投稿中である。
平成25年度は、次の(1)~(3)の手順で研究を進める。(1)アンケート調査結果の解析:平成24年度に得られた調査(①、②の調査)をもとに、詳細な統計処理及び解析を進める。(2)東京学芸大学における研究及び調査:東京学芸大学で、教員免許法上の教科に関する科目である「理科研究」の授業などを利用し、開発した天文教育プログラムを用いた教育実践を試行する。受講生の理解度の分析を行い、プログラム・教材のブラッシュアップを行う。また、学校現場における天文分野の学習は、教師にとっては最も学習指導が難しい内容の一つである。現役の小学校教員を対象にした他の調査によると、天文分野の内容で多くの教員が指導上困難を感じており、その原因の一つは授業についての知識不足であるとの報告がある。開発した天文教育プログラムを応用して、教員免許状更新講習を利用した現職教員に対する教育実践の研究も展開する。(3)教育の評価・論文化:教育実践により学生の基礎知識の定着と科学的説明力の向上にどのように有効に働くのかの調査を行い、論文化を行う。
平成25年度は、平成24年度に得られた調査の集計データを解析するための統計処理用ソフトが必要となる。また、調査結果を速やかに集計し解析するために、集計作業の補助員とそのための謝金が必要となる。さらに、教材の開発にあたっては、教育普及関係者から教育に有効なアイデアや手法を提供してもらい、意見交換を行う。そのため、打ち合わせのための旅費と謝金が必要となる。また、国内学会発表、研究会、国際会議での研究発表のための旅費が必要となる。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
THE ASTROPHYSICAL JOURNAL
巻: Vol. 768 ページ: 7
10.1088/0004-637X/768/1/72
http://darkclouds.u-gakugei.ac.jp/public/museum/index.html