研究課題/領域番号 |
24700872
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
浅野 陽樹 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (30437941)
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キーワード | 土壌物理性 / 排水性 / 最大容水量 / 教材化 / 簡易測定 / 生物育成 / 栽培技術 |
研究概要 |
前年度までの土壌物理性実験データの不足分を補い解析した結果、土壌物理性の中でも特に排水性と通気性の異なる土を調製することができた。また、前年度のダイコンを用いた栽培実験の結果と合わせて本研究の目的に沿った混合土種および混合割合を検討し、教具に用いる土壌は、シラス土および黒土を基盤土として、バーミキュライトを0%、25%あるいは50%混合した土を用いることとした。 本年度は、前述の6種類の混合土を用い、灌水処理としてそれぞれ土壌水分60%を目安に灌水する区、週3回灌水する区、ならびに腰水で底面灌水する区の合計18処理区を設定し、キャベツおよびミズナを供試作物として実験した。その結果、キャベツの葉の生長は、生育初期では水分が多ければ多いほど良いこと、また生育中期(播種後2ヶ月前後)ではバーミキュライトを混合して通気性を高めた土ほど良いことが明らかになった。ミズナにおいても同様に、土壌物理性改善効果を示す処理区が明らかになった。作物間と灌水処理間でいくつか異なる反応は見られたものの、概ね土壌水分は多いほうが生育良好であるものの通気性(排水性)が確保されていなければ生育減衰につながることを示すことができた。 したがって、葉菜類については、バーミキュライトを混合して培養土の通気性を高める技術が作物の生産性を高めることを示す栽培体系を確立することができた。さらに、灌水技術についても、生育初期には多量に灌水し、生育中期には通気性が確保される適度量を散水することが生産性を高めることを示す栽培体系をキャベツで実践できることを示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
土壌物理性の簡易評価法の開発に関して、ペットボトルを用いた測定器の製作、誤差のない充填方法の確立、および最大容水量の簡易測定法の確立については達成している。排水性と通気性の測定についても概ね達成しているが、精度を高めるためいくつかの追試験を実施することとした。 土壌物理性の異なる土壌の調整に関しては、黒土やシラス土に土壌改良資材を混合することで、飽和透水係数(排水性・通気性)や最大容水量(保水性)の異なる土を調整することができている。特に土壌改良資材としては、バーミキュライトが精度・コスト等の面から優れていると判断した。目的は達成している。 土壌物理性の改良技術が作物の生育に効果的であることを示す教材の確立に関して、ダイコンでは不明確な結果であったため追試験が必要であるが、ミズナとキャベツの葉菜類では概ね目的を達成している。平成26年度に予定しているトマトやダイズを用いた栽培実験を実施し、夏野菜を用いた栽培実験教材を確立することで本研究の目的を概ね達成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
物理性の簡易測定法について、精度を高めるための追試験を実施し、論文として発表する。 前年度の栽培実験に関するデータを解析し、学会発表ならびに論文発表する。 また、夏野菜数種についても土壌物理性の改良技術が作物の生育に効果的であることを示す栽培実験を実施する。具体的には、黒土およびシラス土にそれぞれバーミキュライトを0%、25%、50%混合した物理性の異なる土を調製し、灌水量をそれぞれ週3回処理区と腰水底面灌水(水分飽和)処理区の2処理区を設けた要因実験を、トマトおよびダイズを用いて実施する。生育状況や収量を調査・解析し、葉菜類同様に教材化を図る。
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