ペットボトルを用いた土壌物理性の簡易評価法の開発に関して、充填方法や公定法との関係性について検討し、保水性および排水性の簡易測定法を確立した。農業現場で用いるには精度不足だと考えられるが、中学校技術科の教具としては十分であると考える。 土壌物理性の異なる培養土の調製に関して、混合資材の種類と混合割合について検討し、火山灰質土にバーミキュライトライトを25%あるいは50%混合することで排水性(通気性)の異なるいくつか培養土を調製すること、すなわち容器栽培において土の排水性を数値に基づいて改善する方法を示す教材を開発した。この方法を用いることで、従来感覚的に行ってきた排水性の良い土作りを、データ(土壌診断結果)に基づいて科学的に学習することができる。 これらの排水性の異なる培養土を用い、さらに異なる灌水条件下においてミズナとキャベツを栽培し、土壌物理性の改善が作物の生育に重要であることを示す栽培条件について検討した。その結果、キャベツおよびミズナともに排水性を高めた土ほど生育がよく、また灌水条件によっては排水性を高めることにより生育減衰が軽減されることも明らかになった。また、灌水技術についても、生育初期と生育中期以降で灌水量を適宜調整することで生育速度を高められることも明らかになった。 本研究では土壌物理性の簡易評価法および土壌物理性の異なる土壌調整法を確立し、また土壌物理性の改良が作物の生産性を向上することが明確に解るような栽培システムを構築することができた。本成果は、栽培経験の少ない教師に対して、容器栽培における土作りの指南となり、また中学校技術科において栽培技術の効果を目でみて解る教材となることが期待される。
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