最終年度は、スウェーデンと日本におけるESDの政策レベル・教育レベル・民間レベルで行った調査を総合して、分析・考察を行い、ESDのカリキュラム・教材および教師養成の開発の統合モデルの提示することを目的とした。実績を現段階で総括すると、特に、スウェーデンでは政策面、日本では教育面、両国からは、民間面からのアプローチに参考となる事例が見られた。また政策面、教育面、民間面を総括すると、スウェーデンは、省庁・自治体、企業、学校機関、NGO団体の各機関による包括的なアプローチ、日本は、分断的なアプローチにより持続可能性(サステイナビリティ)に取り組んでいることが明らかとなった。特に、スウェーデンのESD活動が、グローバルな課題、日本のESD活動は、ローカルな活動に際立っている実情も見られた。こうした現在の分析結果から、今後国際共同研究を行うことは、両国のESDやRCE(地域専門センター)の活動の活性化につながる。更に、DESD(持続可能な開発の為の教育の10年)最終会議後に提示された、GAP(グローバル・アクション・プログラム)に向けての両国の活動に着目して調査と分析を行ったが、スウェーデンでは、SWEDESD(スウェーデン国際ESDセンター)を中心に、各機関を招聘する、ボトム・アップ方式。一方、日本では、文部科学省のユネスコ国内委員会を中心に、各機関を招聘する、トップダウン方式で最終報告書をまとめる形をとっている。報告書は現在分析中で、モデルに反映する。 今後の課題は、国連「持続可能な開発目標(SDG)」の17項目の4項目に、「教育」が取り上げられていることもあり、持続可能性に向けてより多様な視点で、「教育」のあり方を検討する。世界的な要請から、本研究で提示した「ESDのカリキュラム・教材・教師養成の統合モデル」は、地球環境の「持続可能性」を維持する為に、貢献することを期待したい。
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