研究課題/領域番号 |
24700881
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 和彦 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90344548)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 学習支援システム |
研究概要 |
修学指導支援システムで利用される学生の修学データを効率的に管理・利用するためのWeb検索インタフェースの動的生成機能について,前年度までに開発済みのプロトタイプをベースにさらに改良を進めた。そして,動的生成機能で利用されるXMLメタデータの仕様設計を行った。具体的には,検索条件として入力フォーム上で指定できる学生データの項目を洗い出し,それぞれについて条件の入力方法と選択制約などを記述するためのメタデータの仕様を設計した。さらに,入力フォームで選択された入力条件,出力項目の選択内容に基づいて学生データベースから情報を取得するための問合せ(SQL)を自動生成するためのメタデータの仕様を設計した。次に,インタフェース上で選択可能な組み合わせや入力可能なデータの範囲など,入力データの制約,制限,有効数値等について検討し,データポリシーを設定した。これらと並行して,メタデータを簡単に作成するための作成支援エディタの開発を進めた。既存のメタデータを読み込んで編集できるだけでなく,学生データベースの構成を自動的に取得し,それをメタデータのテンプレートとして利用できる機能を実装した。これらの研究成果をまとめ,学会において4件の発表を行った。 従来技術では,データの追加や変更,システム側インタフェースデザインの変更のたびにシステムそのものの大幅な改修が必要となっていた。これに対して本研究で実現した機能は,データの構成や利用法をXML 形式のメタデータとして管理し,それに基づいて検索インタフェースを動的に生成する。さらに入力内容に応じてデータベースへの問合せや出力形式を自動的に生成する。この機能により多様な修学データに柔軟に対応可能なシステムが実現された。本研究の成果はWeb ユーザインタフェースを持つ多くのアプリケーションで応用可能な技術であり,高い汎用性を有する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
修学指導支援システムで利用される学生の修学データを効率的に管理・利用するためのWeb検索インタフェースの動的生成機能については,当初年度内に予定していた開発作業を予定通りに進めることができた。プロトタイプを拡張子,新たな入力インタフェースに対応させることに成功した。 一方で,動的生成機能で利用されるXMLメタデータの仕様設計と,XMLメタデータを簡単に作成・編集するためのグラフィカルインタフェースを有する専用エディタの開発については,仕様設計に予定以上に時間を要したため,エディタの開発が当初予定よりも大幅に遅れてしまう結果となった。メタデータを簡単に作成するためのエディタは完成に至らぬ結果となったが,メタデータ自体はエディタを用いずとも作成することは可能である。メタデータの仕様設計は年度内に終わらせることができたため,修学指導支援システムそのものは予定した機能拡張まで終わらせることができた。以上より,達成度としてはおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,開発したWeb検索インタフェースの動的生成機能について修学指導支援システムの学生データ分析機能として導入する。機能の基本部分はプロトタイプで既に実装済みであるが,実際の運用を想定した場合,利用環境ごとの差異を無くすなど機能面以外の工夫が求められる。HTML5などWeb のこれからの標準となる新たな技術に対応させるとともにOS やブラウザごとの差を無くすような細かな仕様の見直しを行い,実運用環境として再構築する。実装したXML メタデータに基づくインタフェース動的生成機能を修学指導支援システムに組み込み,運用実験を行うことで機能の性能を評価する。良く利用される入力条件の組合せや出力項目などの履歴を蓄積しながら,頻繁に利用されるものについては入力を簡略化するなど利用向上の改善を進める。 さらに,その後は修学指導支援システム以外の情報検索システムに対しても広く本研究で開発したWebインタフェース動的生成機能が利用できるように,機能の汎用化についても研究を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度の研究で遅れが生じたために,予定していた学会発表が1件間に合わす,研究費を使用できなかった。次年度の前半に論文をまとめ,当初予定していた学会での成果発表を行う予定である。さらに次年度に予定していた研究費の使途についても,計画の通りに,運用評価の結果についてデータをまとめ,国内・国外の会議において発表する予定である。また,これまでの成果を論文としてまとめ学会へ投稿する予定であり,投稿料等の必要経費として研究費を使う予定である。
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