研究課題/領域番号 |
24700883
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今野 文子 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助教 (20612013)
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キーワード | リフレクション / ふり返り / 授業改善 / 授業設計 / 教師教育 / FD / 専門性開発 |
研究概要 |
(1)大学教員による授業準備調査に関する成果報告:これまでに実施した,大学教員を対象とした授業準備に関する調査の結果について,報告書として刊行するとともに,国際会議においてその成果の一部を発表した。調査の結果からは,分野により授業準備の取り組みの方法,形態が異なること,授業運営に関する協働の体制が異なることなどが明らかになった。今後はこれらの結果の詳細な分析・考察を交えた発表を予定しているほか,明らかになった実態やニーズに基づく支援方法やプログラムの開発に取り組む予定である。 (2)大学院生講義「リフレクションの理論と実践」の実施と評価:大学院生向けの授業として「リフレクションの理論と実践」の実施と評価を行った。昨年度の実践結果に基づく評価の内容を反映し,改善を施したうえでの実践とした。授業では,大学院生が自身の研究構想とその発表における自分自身の行動や感情の変化の様子を対象としてリフレクションを実践し,理論との往還を通じて,主体的なリフレクション手法の取得を導く授業設計が実現できた。受講生からの評価も高く,理論を机上で学ぶだけでなく,自身のこれからの研究に対する姿勢として実践しながら学ぶことで,大学院生としての日々の習慣のひとつとして位置づけるような態度が育成できたといえる。 (3)リフレクションの実践の埋め込んだ研修プログラムの実践と評価:所属大学で実施している,大学院生向けの「大学教員準備プログラム」,新任教員向けの「新任教員プログラム」の双方において,過年度の実践結果に基づく評価の内容を反映し,さらにリフレクションの実践を重要視したプログラム内容への改善を図った。評価の結果からは,実践者がリフレクションの意義や価値をより意識し,継続的に取り組めた様子が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定よりも,実際の学内外のプログラムや研修,授業をフィールドとして研究の成果をダイレクトに実際の活動,コンテンツに反映できているため,おおむね順調に進展していると判断できる。研究成果についても,報告書として全国の大学に配布したり,国際会議において発表するなど,広く還元できているといえる。研究計画中で当該年度に実施予定としていたWebページとガイドブックについても,プロトタイプ版を作成し段階的に実践に組み入れていくことができている。実際に学年歴に埋め込まれた形で運営されている授業やプログラムを実践フィールドとして研究を進めているため,その実施中には,海外調査や研究発表の出張を入れることが若干難しい状況ではあるが,研究計画に対して大幅な遅れ等は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,これまでのプログラムの実践と評価内容に関する成果発表,および,提案手法とこれによるプログラムに関するWebページ,およびガイドブックの本格運用を予定している。上記で報告した授業,およびプログラムは,今年度も継続して実施する予定であるため,これらの取り組みに対して成果を還元できると考えている。計画の変更等は特に発生していない。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は,今年度の調査,研究を効率的に推進したこと,および研究代表者自らの手による調査や実践が大半を占め,謝金等の出費が不要であったこと等伴い発生した未使用額 であり,平成26年度の請求額とあわせ,平成26年度の研究遂行に使用する予定である。 次年度使用額については,論文投稿やガイドブック作成,公開等のための費用に充てる予定である。
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