(1)大学教員授業準備調査:東北大学の全教員を対象とした授業準備に関する調査結果として,授業設計時に利用したいサポートの内容は,職階・分野により違いがみられることを明らかにし,国際会議(ICCE2014)において発表した。支援のニーズとしては,他の教員の授業を参観する機会,教材や資料のデジタル化などが求められていることが分かった。一方,初期キャリアの教員の方が支援ニーズを表明する割合が高い傾向にあるが,教材のデジタル化については職階によるニーズの差はなく,どの職階でも求められている支援であることがわかった。さらに学問分野別にみると,理系分野では当該授業の前任者との相談の機会に対するニーズが文系よりも高く,人文科学分野では同僚との相談の機会に対するニーズが高いことがわかった。またこれら成果を新任教員向けの研修プログラムに反映し,授業設計時の留意点やアプローチの多様性の理解のためのデータとして活用した。
(2)リフレクションの実践を組み入れた研修プログラムの実践と評価:これまでの調査結果・実践結果を反映し,自身の実践や教育観の構築を対象としたリフレクションの実施のためのガイドブックを開発するとともに,約30分のeラーニング教材を作成し,実際に研修において使用した。その結果,リフレクションの実践を繰り返しながら徐々にその方法を習慣付けていく様子が観察されたとともに,研究分野や日々の研究実践の作法や常識の範囲の違いにより,自身の内面の思考を言語化することへの抵抗感が観察される場合があることが明らかになった。
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