研究課題/領域番号 |
24700884
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大河 雄一 東北大学, 教育情報学研究部, 助教 (60361177)
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キーワード | 教育工学 / 学習支援システム / 再利用 |
研究概要 |
本研究の目的は,実施した授業実践の分析から次の授業設計・教育を行う成長型授業設計モデルに基づく教育システムにおいて,教師が授業準備を行う際に,従来想定されていた画像ファイルやその提示順序などの授業計画の再利用にとどまらず,補充説明などのため共有黒板上に描画を行った板書の内容などを教材データとして選択的に再利用可能とすることで,教師の授業準備を補助するとともに,より高度な授業実践を実現すること,および,利用する教材データを各端末で分散管理を可能とすることで,サーバ設備や教室のネットワーク環境に依存しない利用を実現することである。 研究2年度目にあたる本年は,前年度に引き続き,我々の研究グループで開発してきた従来型の教育システムである共有型電子黒板システムIMPRESSIONを参考とし,IMPRESSION上で行われた授業の板書描画等の再利用のために必要な機能・管理方法についての要求仕様分析を行い,その結果から,基本設計ならびにプロトタイプシステムの開発を行った。 研究計画段階から,再利用のためには,従来の描画形式と異なり,ベクトルグラフィックとして描画を管理する必要性があり,また教員の利便性のためにも授業計画と一体となった管理の必要性が予測されており,前研究年度に開発を行ったプロトタイプシステムの実装からも,その予想が正しいことが確認されている。そのため,本年開発を進めたシステムもベクトルグラフィックで管理を行う仕様を踏襲した。 加えて,本研究では再利用の際に,描画内容を,選択的に利用可能とするためには,単に矩形等で描画エリアを区切り選択するだけでは,再利用したいオブジェクトを正しく選択することは困難であると予想されることから,描画時間についても考慮することで,再利用を行う手法の提案を行い,プロトタイプシステムへ組み込みを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き研究計画に従い,プロトタイプシステムの開発を行ってきた。一方で,分散システムとしての検討は研究計画と比べ要求分析等が終了していない。また,前研究年度にプロトタイプシステムとして実装した,再利用機能については,動作試験まで実施を行うことができているが,今後,実システムに統合が必要である。 これらのことを総合すれば,おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
予定している模擬授業を使っての検討に先立ち,引き続き,分散型システムとしての教育システムの実装を進める必要があると考えられる。 また,試用実験を通じて,提案システムの機能改善を計る必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額のうち,50,360円は年度末に既に行った出張旅費であり,清算が次年度となっているものである。 また,残る残額11,086円も今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額とあわせ、分散型システムとしての教育システムの開発に使用する予定である。
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