本研究の目的は,実施した授業実践の分析から次の授業設計・実施を行う成長型授業設計モデルに基づく教育支援システムにおいて,教師は授業準備を行う際に,従来想定されていた画像ファイルやその提示順序などの授業計画の再利用にとどまらず,補充説明などのために共有電子黒板上に描画を行った板書の内容などを教材データとして選択的に再利用可能とすることで,教師の授業準備を補助するとともに,より高度な授業実践を実現すること,および,利用する教材データを各端末で分散管理を可能とすることで,サーバ設備や教室のネットワーク環境に依存しない利用を実現することである。 計画最終年度に当たる本年度は,前年度に引き続き,我々の研究グループで開発を行ってきた従来型の共有電子黒板システムであるIMPRESSIONを参考に,板書描画の再利用を行えるプロトタイプシステムの実装を進めた。従来システムはWindows上で動作するビットマップ描画型のシステムであったが,研究ではiPad上で動作をするように,および,再利用を容易にできるように,ベクトルグラフィック型での実現を目指し,描画管理エンジンの完成を見た。本描画エンジンは,実際の描画を行うシステム依存部分と,描画のための座標管理などのシステム非依存部分を切り離し開発を行っており,軽微な修正で他の環境にも導入可能なものとなっている。 教材データの分散管理についても,プロトタイプシステムを開発し,動作を確認した。
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