研究課題/領域番号 |
24700888
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
江木 啓訓 神戸大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30422504)
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キーワード | 教育工学 / 行動識別システム / 教授学習支援システム / ユーザインタフェース / 授業法 / タブレット |
研究概要 |
平成25年度について,以下の通り取り組みを進めた.まず,視線計測装置を用いた授業観察のための講義映像の準備と編集を行った.研究協力者に依頼し,二百名程度の大教室で行われている実際のアクティブラーニング型の授業一回を対象とした.教員映像,スライド映像,学生映像,教室全景映像を撮影して,講義の場面を切り出して四画面に分割表示した映像を用意した.このビデオクリップをもとに,経験のない授業観察者群である大学生と,専門家群として教育改善を専門とする大学教員を対象とした授業観察の実施とインタビューを行った.その結果から,授業法の振り返りに必要な内容とその取得方法に関する技術的検討を行った.また,これらの実践では人手を介した編集や分類・タグ付けなどの作業が多く生じたことから,自動化するための方策とその課題について整理した. さらに,学習者の行動を識別するために製作した筆記具について,紙とタブレットへの記入における差異に関する比較分析を行った.タブレットを用いた学習環境が,研究計画決定時の想定を越える速さで普及してきている.このため,これまでに紙と筆記具を用いて筆記行動の分析を行ってきたが,この手法がタブレットとスタイラスを用いた場合でも利用可能どうか実験を行った.両方の環境で被験者に書き取りを行ってもらった結果,双方の間で大きな差異はなく透過的に適用できることが明らかになった. これらの成果を踏まえて,研究報告するための学術文献の調査を実施するとともに研究発表と紹介・デモを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの成果を踏まえて,実際の授業観察システムの構築と評価に向けた基礎検討と予備実験を通じた機器の導入による効果や影響を検証した.実際の教授学習の場面を対象とする場合の複雑さを認識するとともに,運用のための課題を整理することができた.また,タブレットデバイスの普及や活用などの社会情勢の変化を踏まえて,学習環境の再定義と比較実験を行った. その一方で,従前は研究協力者に実践のための授業等の環境を提供してもらっていたが,研究担当者の所属機関変更に伴って本務地から定常的な実験のために訪問することが難しくなり,最終の評価分析をどのように行うかが大きな課題となっている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続いて,これまでに開発を進めてきたシステムを用いた実践を計画する.ただし,研究担当者の所属機関変更に伴って,現所属における教員担当や,従前の協力者との地理的な距離に変更が生じている.このため,実験や実践の環境,開発体制等を早急に点検し,研究遂行に必要な体制を再編成する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究者の所属機関の異動に伴い,国内外出張の旅費が東京起点から神戸起点へと変更になった.このため,旅費の金額に変更が生じたため. 研究の最終年度にあたるため,学術論文の投稿料と別切りの購入,研究発表旅費として調整のうえ執行する.
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