研究課題/領域番号 |
24700891
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
國宗 永佳 信州大学, 工学部, 助教 (90377648)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 教育工学 / 遠隔教育 / 講義映像配信 / 高精細映像 / 非言語情報 |
研究概要 |
平成24年度には本研究課題で開発するシステムの主たる機能を持つプロトタイプシステムを開発した. プロトタイプシステムは,低解像度の講義映像のストリーミング配信,各受講者の要求に応じた高解像度静止画の切り出しと配信,各受講者が切り出した静止画の保存・メモの付加・共有,受講者が切り出しを要求した箇所の教授者への各機能を有する. このシステムの開発にさきがけて,配信映像のエンコーディング・ストリーミング,高解像度静止画の切り出しに要する処理能力,教授者と黒板・資料等の全体像を大まかに把握するために必要十分な映像の解像度,教授者への切り出し箇所の提示方法,受講者間で共有する静止画の絞り込み手法について,調査・検討を行った. また,各受講者が切り出した静止画に対して,メモの付加・共有機能を開発したが,PC上でキーボードによるメモの入力を行うユーザインタフェースには実用上の問題があるため,タブレット端末上でのシステムの実装についても,検討を行った.さらに,教授者・受講者の間で共有される言語情報・非言語情報について検討を行い,本システムで補完することのできる非言語情報について精査を行った.この結果,メモの入力を行うことにより生じる非言語情報を活用し,遠隔地の学習者に対して他の学習者の学習状況を暗黙的に与える機能の検討を行った.これらの点について,既に開発したプロトタイプシステムへの機能拡張として開発を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画における,機能に関する調査・検討,およびプロトタイプシステムの開発についてはおおむね順調に進展している.また,機能の検討を行う上での予備実験や調査についても順調に進展している. 一方で,プロトタイプシステムを用いた模擬講義については実施しておらず,この点においてはやや計画から遅れている.これはシステムで提供すべき言語情報・非言語情報についての精査による機能拡張が生じたためである. 一部に計画の遅れはあるものの,全体としてはおおむね順調に進展しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては,以下のように考えている. (1)システムの改善について 平成24年度に実施した模擬授業におけるシステム機能評価の結果を受け,システムの改善を行う.また,評価の結果さらに機能が必要であると認められた場合には,新機能の検討・開発についても併せて行う.さらに,改善したシステムについて模擬講義等を通じた機能評価を行い,必要に応じてさらなる改善および新機能の開発を行う. (2)導入実験 前項の通り改善したシステムについて,模擬講義等へ導入することにより,その有効性を確認する.また,研究代表者が現在所属している大学においては,定常的にキャンパス間を結んだ遠隔講義が多数実施されているため,本システムをこれらの遠隔講義・セミナーに導入することを検討している.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に引き続き,国内・海外で遠隔講義システムに関する研究者に対して調査を行うとともに,論文・資料等の購読を行う.また,システムの評価実験時に必要となる,アンケート等の結果集計をはじめとした研究補助作業のために,協力者(大学院修士課程学生1名程度を予定)に対して,謝金を支払う.さらに,これらの研究によって得た成果については,国内・海外の学会・論文誌等において,随時成果発表を行う.
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