研究課題/領域番号 |
24700893
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
李 凱 豊橋技術科学大学, 先端農業・バイオリサーチセンター, 特任助教 (10531543)
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キーワード | 教育工学 / フィードバック / ヒューマンセンシング / 学習活動 / センサ |
研究概要 |
本研究は、ヒューマンセンシング情報を用いて学習者の学習状態を推測するため、振動、モーションなどの非装着型スマートセンサを用いて、多様な学習活動を計測するシステムの開発、及び学習活動の定量化・可視化手法の実現を目的とする。初年度は主に、学習活動を反映する要因の調査、学習活動の分類及び構造定義、ヒューマンセンシング情報計測システムのデザインを行った。 今年度は、初年度にデザインした多機能フィードバックシステムの試作、学習活動の抽出・推定、並びに予備実験を行った。 まず、6軸モーションセンサを用いて、人間の行動を計測するシステムを構築した。具体的には、本研究では三軸の加速度、角速度(ジャイロ)、地磁気(方位)センサを搭載したIMU-Zモーションセンサモジュールを利用し、Bluetoothによる無線でセンサデータをパソコンに転送するシステムを構築した。その結果、学習者が拘束されることがなく、センサをポケットに入れるだけで各行動を計測することが可能になった。 次に、各行動を認識するため、機械学習ツールを利用し各行動状態の特徴量を抽出した。具体的には、WEKAという機械学習ツールを利用し、学習フェイズで実験者から一連の動きに関するセンサデータを記録し、学習活動の識別器を作る。次に分析対象である学習者から、同様にセンサデータを取得し、特徴量の抽出を行い、生成された識別器に入力し、自動的に学習活動の識別を行った。予備実験で行った結果として、揺らす、静止、前傾、後傾、横傾、歩くの行動に関して、行動認識率は65%で正しく分類された。 以上の成果を関連する国内の学会、国際会議にて発表した。次年度は、各活動と学習状態の関連付けを解明するため、多様な学習活動の収集、認識アルゴリズムの改善を行い、現場での実証実験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画は前年度にデザインした多機能フィードバックシステムの実現と学習活動の抽出・推定を行う。計画通りに、6軸モーションセンサを利用した行動計測するシステムを構築した。また、機械学習ツールを利用し、計測したセンシングデータを6種類の行動に識別できた。そのほか、予備実験で65%の認識率で学習者の行動を計測・識別できた。今年度で得られた研究成果を教育工学会第29回全国大会で口頭発表、関連研究を国際会議APIRCで発表した。本研究最大の特徴は、工学センシング技術の利用により、非装着型スマートセンサを用いて学習者の学習状況を的確に客観的把握し、FDの改善、教育効果の向上など貢献が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、振動、モーションなどの非装着型スマートセンサを用いて、多様な学習活動を計測するシステムの開発、及び学習活動の定量化・可視化手法の研究を目的とする。初年度と今年度では、システムのデザイン・構築を行い、学習活動の計測・識別のアルゴリズムを開発した。 最終年度では、改良をふまえ、モーションセンサだけではなく、新たに最近注目された眼電位センサを備えたアイウエアに参考し、眠気、疲れなど体の動きを検知できる機能を充実しにいく。また開発したシステムを用いて現場実験を行い、多様な学習活動の収集、認識アルゴリズムの改善を行う。システムの安定性だけでなく、併せてアンケートも実施しながら、量的・質的データの双方を用いた十分な評価を行う。評価の結果によって、システムの改良や授業効果の改善が期待できる。さらに、実証実験で得られた研究結果を国内公開研究会や国際会議の場で発表すると共に、研究成果をまとめ学会論文誌に投稿発表する。
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