高等教育の授業におけるグループワークでの学習者情報を活用したグループへの介入およびグループ構成を支援するシステムを開発し、その効率性や効果について実証することが本研究の目的である。想定している機能としては、教員に対し、学生のプロフィール情報やそれまでのグループワークでの活動の様子をもとに、そのグループに対して効果的であろう介入策や、最適なグループ構成案を提案することであり、協調学習の質を高める効果が期待されるものである。 今年度は、前年度のアルゴリズムの策定をベースとして、HTML5とPHPをベースとしたWebアプリケーションとして動作するデモシステムの開発を行った。授業準備(グループ設計の設定)、開始(出席・遅刻対応)、授業中の対応(グループの組み替え、入力間違いへの対応)のそれぞれのフェーズにおいて、簡易な操作によってグループ構成が実施できるように、インタフェースを設計し、授業中の利用可能性および具体的実装について検討した。これらはスマートフォンおよびタブレット端末において操作が可能となるように、デザインされている。また、なるべく教員側と学生側のインタフェースに対称性を持たせ、利用中の混乱を軽減する工夫を行った。あわせてこれらの設計の基礎データとするため、大学授業グループワーク中のコミュニケーションの分析を行った。今後は開発したシステムの実践での活用を通して効果を検証することで研究を継続していく。
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