研究課題/領域番号 |
24700897
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
深見 俊崇 島根大学, 教育学部, 准教授 (80510502)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カリキュラム開発 / 教員志望学生 / ワークブック |
研究概要 |
本研究は、カリキュラム開発に関する力量が現職教員に求められる現在において、教員養成段階でその基礎を身につけるためのワークブックを開発することを目指すものである。 教員養成段階におけるカリキュラム開発につながる取り組みとして、教育課程論の講義が挙げられる。そこで、全国の大学で開講されている教育課程論のシラバスを収集し、テキストマイニングの手法を用いてその傾向を検討した。その結果、教育課程論の講義で中心的に扱われている内容は、「教育課程に関する基礎知識」「教育課程の編成原理」「学習指導・教科の構造」「学習指導要領の変遷」といった概念的な内容であることが明らかとなった。 そして、カリキュラムに関する研究を行っており、教育課程論を担当している研究者2名を対象にインタビュー調査を実施し、講義のねらいや全体のデザインなどを詳細に確認した。両者とも、教育課程・カリキュラムという題材を通して、学習指導要領などの法・制度と教育との関係性、教育における課題などを教員志望学生の経験と結びつけながら理解を促すことを試みていた。だが、両者とも、教員志望学生が授業づくりやカリキュラム開発を経験していないことによる教育課程論の指導の難しさを語っていた。 また、現職教員がどのような経験を経てカリキュラム開発に関する力量を形成してきたのかを明らかにするために、ベテラン教員に対してライフストーリーを中心にしたインタビュー調査を実施した。その結果、勤務校における研究課題への対応、地域の特色を活かした授業への取り組みがカリキュラム開発への力量を高める契機となることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国の大学で開講されている教育課程論のシラバスについてはほぼ収集が終わっている段階である。中間段階であるが、日本教育工学会全国大会において、その分析結果を報告することができた。 教育課程論担当者、現職教員に対するインタビュー調査を実施できており、それを研究成果としてまとめる段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
全国の大学で開講されている教育課程論のシラバスに関する研究については、学術雑誌論文への投稿に向けてデータ分析を行っている。また、教育課程論担当者、現職教員に対するインタビュー調査の結果については、今年度の学会・研究会等で発表する予定である。そのためにも調査対象者を追加してインタビュー調査を行う予定で進めている。 今年度については、海外の大学において開講されている"curriculum development"に関する科目をWeb上から収集し、わが国のそれと比較・検討する。また、アメリカの大学を訪問し、そこでの取り組みについてインタビュー調査並びに授業観察を実施する。 これらの成果を基にカリキュラム開発を教育志望学生が体験できるプログラムを予備調査として実践し、そのデータを収集する。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越研究費が生じた理由として、関東のある大学の教育課程論担当者とのインタビュー調査並びに授業の訪問調査が諸事情により平成25年度に延期されたためである。「今後の研究の推進方策」にも述べたが、教育課程論担当者に対してのインタビュー調査に関しての研究費が一つ挙げられる。 平成25年度については、海外の大学におけるカリキュラム開発力量を高めるための取り組みの収集並びに実地調査と、カリキュラム開発を経験するためのプログラムの予備調査を実施する。前者については、英語文献の購入と渡航費用、後者については、デジタルビデオカメラとデジタルカメラの購入を計画している。
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