研究課題/領域番号 |
24700903
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研究機関 | 名寄市立大学 |
研究代表者 |
石川 貴彦 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (50422001)
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キーワード | LMS / データベース / CGI / Web / リンク / システム開発 |
研究概要 |
これまでの研究では、学習機能ごとに定義されたサブシステムを、分割情報という形で稼働中のLMSから自動取得し、サーバ移行や新規構築の際にその情報を用いてLMSを再構成するプログラムを開発した。25年度はサブシステムのCGIプログラムや、データベース(DB)の格納データを洗練し、再構築に最適なサブシステムを生成するプログラムを開発した。これにより、分割・洗練・再構成をサイクルとするLMSの拡張モデルの中核を構築した。 分割情報は、サブシステムのリンクマップとDBテーブルのリストであり、リンクマップから動作検証を行うことができる。ここでは①他CGIへのリンク、②DBを更新し自身に再帰、③元のCGIに戻る、④起点のCGIにジャンプといった4つの検証パターンを定義し、マップの各地点において4パターンが満たされているかどうかをチェックするプログラムを作成した。パターンが満たされなかった場合は、ユーザにリンク切れを警告する。他にも、戻るボタンが実装されず一方通行になっている状況も、リンクマップと検証パターンの照合から導かれており、ユーザビリティの観点からもシステムの不備を指摘できた。この結果を踏まえて、サブシステムを修正していく流れとなる。 格納データの多くはIDを主キーとし、連番で追加されるが、それが削除されると欠番になってDBの劣化が進む。欠番がなくリンクを保持している状態が、洗練された状態と言える。本研究ではテーブルの新旧ID対照表を生成し、その対照表を基にしてIDを書き換えることで、リンクを保持しつつも自動的に欠番を詰めていくプログラムを開発した。このプログラムによる稼働実験の結果、本LMSの適用例である「就職支援ポータルサイト」に登録された約5000件の求人情報から、新サーバに移管する約400件の格納データを洗練し、移行できたことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年までの分割・再構成というサイクルに、今年度の主な研究成果である「洗練」という工程が加味されて、分割・洗練・再構成というLMS開発サイクルの中核部分を形成できたことが理由である。 分割および洗練の工程については、LMS ManagerというCUIベースのコンソールに集約し、キー操作できるようにした。コンソールを用いてLMS内に保存されたサブシステム(フォルダ)を指定すると、使用データベースのリスト(分割情報)と、洗練された格納データを自動生成する。再構成についてはLMS Installerという、もう1つのコンソールに集約した。Installerでは、Managerで自動生成されたリストとデータを新サーバに流し込み、LMSを短時間で確実に再構築する。この2つのコンソールが完成したことにより、機能分割と機能追加による開発サイクルの高速化が進んだことも挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
LMS開発を簡便にするためのWebユーザインターフェースの充実が挙げられる。CGIに実装するフォームやボタンなどを定義するHTMLタグを、インターフェースを用いてマウスクリックで入力・設計できるようなツールや、リンク切れなどの動作検証をWeb上で行えるような装置の開発を進めていく。 そして、本LMSの実践例の増加を図っていく。開発サイクルの高速化により、教員が授業展開のなかで新しく思いついたサブシステムを素早く制作し、授業に導入できる可能性が高まった。まずは、自身の講義においてサブシステムを検討し、それを実装・導入して、本モデルの効果を検討するのに必要なデータを蓄積していく。また、LMS ManagerおよびInstallerのマニュアル化を進め、ユーザが円滑にLMSを運用できる体制を整備していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、学会旅費として使用する予定だったが、本研究課題において昨年発表した論文が優秀論文賞を受賞し、その表彰式に招待するという理由で、今年度学会の旅費の一部が学会負担になったことから、当初の計上額よりも少ない使用額で済んだことが挙げられる。 また、システム障害に備えて人件費を計上したが、今年度は障害が一度も発生しなかったため、保守費用を使用せずに済んだことが挙げられる。 物品費に充てる予定であり、タブレットやスマートフォンなどの次世代端末やWindows Server 2012といった新型OSに伴うアプリケーション(特にブラウザやビデオプレイヤーなど)に対応したLMS技術の検討および開発費として使用し、本システムが現状のインフラにも十分適応できる体制を整備する。
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