研究課題/領域番号 |
24700906
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
松本 章代 東北学院大学, 教養学部, 講師 (40413752)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自然言語処理 / 文書作成法 / テクニカルライティング / Webサービス / 可視化 |
研究概要 |
本年度はまず,文書全体の論理性を見直すための指針の与え方について検討をおこなった.不適切な接続詞を検出する機能を実装するほか,さまざまな角度から論理的な文書の作成を支援する機能を考案し,システムの試作および動作検証をおこなった. 1. 「コーパスの作成」論文誌などから良質な科学技術文章を大量に収集したものと,学生が書いた実際のレポートの,2種類のコーパスを作成した. 2. 「不適切な接続詞の検出方法の検討」技術文書における接続詞の使われ方を分析した.そのためにまず,コーパスから接続詞を含む文とその直前の文を抽出し,接続詞ごとに使われ方の傾向を分析した.特に,論文誌と学生レポートとの違いに着目した.この調査結果から得られた知見に基づき,不適切な接続詞を検出するためのアルゴリズムを考案した. 3. 「システムの仕様検討および試作」コーパスの分析結果に加え,他機関のテクニカルライティング教育の実態調査や,他の教育者からの聞き取りレビューなどを踏まえ,構築するシステムの仕様を再度検討した.検討した仕様に基づき,システムを実装した.実装後には動作検証を行った.たとえば,実装したルールに従って不適切な接続詞が正しく検出できるか,といったことを確認した. 4. 「予備実験の実施」予備実験として,検出された不適切な接続詞の妥当性に関する評価実験を行った.実験結果から問題点を検証し,手法の改善案を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システムの開発は,ほぼ計画どおりに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は評価実験を行い,実験結果に基づきシステムの改善を行う.また,構築したシステムを実際の授業に本格導入する.さらに教育効果について検証を行い,研究成果をまとめる. 1. 評価実験・・・文書のあらすじを可視化することや,不適切な使われ方の接続詞を指摘することが,論理性の推敲の手段として有効であることを検証する.さらに,開発したシステムを実際の授業で運用し,たとえば「システムを利用したことがない状況で書かせたレポートと,システムを継続して利用し続けた状況で書かせたレポートとを比較し,文書の論理性はどのように変化しているか.」「システムを利用しないときにも,論理性を意識した文書が作成できるか.」などの教育的観点から本システムの有効性を明らかにする. 2. 実験結果に基づくシステムの改善・・・評価実験の結果に基づき,システムの改良を行う. 3. 開発システムの運用・・・開発したシステムを実際の授業に導入・運用する. 4. 不適切な接続詞の検出精度の向上および検出範囲の拡大・・・不適切な使われ方の接続詞を検出する精度を向上させ,対象となる接続詞の種類を増やす.
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費のうち,調査・研究旅費については,他の大学や企業で行われているテクニカルライティング教育の実態調査,およびライティング教育に携わる他の研究者らと意見交換を行うために使用する. 研究打ち合わせ旅費は,研究協力者とミーティングを行い,専門的立場から様々な助言・支援を受けるためのものである. 学会発表旅費は,電子情報通信学会・情報処理学会等の関連研究会での発表を予定しており それにかかる費用である. 謝金は,実験用データの作成者ならびに評価実験の被験者に支払うために計上する.
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