研究課題/領域番号 |
24700906
|
研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
松本 章代 東北学院大学, 教養学部, 講師 (40413752)
|
キーワード | 自然言語処理 / 文書作成法 / テクニカルライティング / 接続詞 / 論理的 |
研究概要 |
「科学技術文書の論理性を推敲できる文章作成教育システム」を実現するため,本年度は,ユーザ(学生)によって入力された文書から,論理的に問題のある個所を自動検出し指摘する機能の実装および評価を目指した. まず,これまでの研究成果を踏まえて接続詞に着目し,学生の書いたレポートを改めて精読したところ,(1)「よって」「したがって」といった因果関係を表す接続詞,(2)「つまり」「すなわち」などの言い換えを行う接続詞,(3)「このように」「こうして」といった結論を導く接続詞,を強引に使用し論理の飛躍が起こっているケースが散見されることを認識した.そこで,これらの接続詞を「論理を導く接続表現」と定義し,「学生レポートにおける論理の飛躍は『論理を導く接続表現』を伴って起こりやすい」という仮説を立てた. この仮説を検証するため,まず,良質な科学技術文章を大量に収集したものと,学生が書いた実際のレポートの,2種類のコーパスを用いて,論理を導く接続表現の出現傾向を調査・分析した.その結果,総語数に対する,論理を導く接続表現の出現頻度は,学生レポートの方が明らかに多いことがわかった.説明が不十分な状態で結論を急ぎ,論理の飛躍が起こっている可能性があると考えられる.さらに,接続表現ごとに分析すると,学生レポートでのみ出現頻度が高いものが数種類存在することが確認された. つぎに,実際に論理的な問題が生じている箇所を解析しその規則性を整理した.そして,非論理的な接続表現を推定する具体的なアルゴリズムを考案し,実装した.さらに,検出された非論理的な接続表現の妥当性に関して確認する評価実験を行った. また,実装した機能を現行のシステムに追加し,実際の授業に導入した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システムの開発・評価・運用は,ほぼ計画どおりに進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
本システムが論理性の推敲の手段として有効であることや,システムを実際の授業に導入した場合の効果について,検証していく予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度に繰り越した額はわずか2,170円であり,ほぼ計画通り使い切ったといえる. 次年度に繰り越した額はわずか2,170円であり,特に計画に変更はない.
|