本研究は「支援型教師教育モデル」を構想し、教師教育者の役割や専門性のあり方について追究を行ってきた。本研究期間を通じて、支援型教師教育モデルにおいては、教師教育者が「学び続ける教師」としての成長を支援し、そのための専門的な知識や技術を具体的に獲得するための方策が必要であるという一つの結論にたどり着くことができた。そのために、教師教育者の位置付けに関する検討も引き続き必要であるという状況にあることも明らかとなった。 現時点での教師教育者像として、養成機関においては教育分野に関する調査研究の知見を実践に還元することができる理論と実践の架橋を行うものとしての教育者像が、そして学校現場においては、卓越した実践力を持つ模範としての教育者像が、それぞれモデルとなっている。この考えを踏まえて、両者の教育者像がもたらす支援型教師教育が実現・機能するために、教師や実習生に対して省察を促し、学ぶ力を身につけるためのファシリテータとしての役割をどのように考え、実践していくかを具体的に追究していくことが必要だという考えに至った。 そこで研究年度の後半においては、このファシリテーションに関する知識や技術を検討し、獲得するためのプログラムを構想・開発し、教師教育研究の第一人者であるオランダのFred Korthagen氏を日本に招聘し、全国の教師教育者(大学教員や、現職の指導的立場にある教員)述べ40名強に対して、省察を促す具体的な方法について学習・獲得していく機会を設けた。 研修に参加した教師教育者は、新たなファシリテーション技術を獲得し、学生現職教員に対して、支援型の教師教育の実践の可能性を実現したが、一方で、現行の養成課程や授業展開にどのように取り入れ、整合性をもたせていくか、他の(担当者の)科目との調整をどのようにするかなど、課程や組織全体としての支援型教師教育実践の実現という新たな課題も明らかになった。
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