研究課題/領域番号 |
24700909
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
東 るみ子 青山学院大学, 社会情報学部, 助教 (80550102)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 意思決定 / 教育改善 |
研究概要 |
1、定量データと定性データを考慮した意思決定機構の階層構造について検討 従来の意思決定で用いられるAHPの階層構造をベースとした、定量データと定性データの並列階層構造の構築を試みた。24年度の研究では、教育現場におけるデータが得られていない為、別の意思決定問題をベースとし、定量データと定性データを扱う階層構造の検討を行った。 2、カーネルPCAを用いた意思決定アルゴリズムの開発 カリキュラム選択における意思決定機構のアルゴリズムでは、教師側の主観的評価を定性データ、生徒の点数など客観的な数値は定量データとして扱い、これらの情報を基に各生徒に適した選択を行わなければならない。その為、定性データは従来のAHPに基づいた一対比較による手法を用いて評価を行い、定量データはPCA(Kernel Principal Component Analysis)を用いて分析するアルゴリズムを検討した。PCA側の分析には、実際の教育データを用いた。得られた結果を教師側に評価して頂いたところ、教師側の主観と近いものであった。今後はAHPの数学的制約を考慮した、両データの統合評価法を検討する必要がある。 本研究の最終目的はカーネルPCAを用いたアルゴリズムの開発であるが、24年度はカーネルPCAではなくPCAを用いたアルゴリズムの開発を検討した。カーネルPCAは、近年の小、中、高校生の学力の分布が非正規分布を成しており、線形解析が適さない場合を想定している。しかし、24年度はデータの分布は考慮せず、定性データと定量データが融合した決定法の開発を優先させたため、PCAを用いて有効性等の検証を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度の研究計画であった「カーネルPCAによるアルゴリズムの開発」までは至っていないが、当初からこのアルゴリズムの開発に時間がかかる可能性があると想定していたため、現段階ではおおむね順調に進展していると考える。 また、カーネルPCAを応用する前段階として、比較的正規分布を成している生徒の成績に関してPCAを利用し学力分析を行った結果、教師側の主観的意見に近い成分が抽出できたことから、非正規分布を成す現代の学生の学力分析にはカーネルPCAが応用できる可能性が高いというところまで研究で明らかにできた。 更に、定量データと定性データを扱った意思決定の評価法の開発は順調に進んでいる為、この状況で引き続き研究を行うことで、25年度には1つの成果として発表できると考えている。 以上の理由により、24年度はおおむね順調に進展していると評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
24年度の研究成果をふまえ、当該年度では終えられなかった課題である、カーネルPCAを用いたアルゴリズムの開発を行う。更に、当初の25年度研究計画である下記の内容を進めていく。 「潜在要因と顕在要因を融合した意思決定機構の構築」 顕在要因と潜在要因の相補的関係に注目し、互いの相関関係をシステム論の立場から分析し、数量化を行い、両要因を統合した意思決定機構を構築する。顕在要因の抽出には、教員からの生徒への所見を定性データとして用いて行う。AHPでは意思決定者が与える定性データを言語尺度に基づき数値化する為、本研究で扱う顕在要因も同じ処理を行い、数値化されたものとして扱うことができる。また、両要因から構成される一対比較行列の計算手法、固有ベクトルの扱いについても検討を行う。両要因から代替案の評価を行い、最終評価として双方の固有ベクトル(重み)の統合を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の主な研究費の使用計画として、 1)25年度の研究成果を発表する為の論文投稿料、2)オペレーションズリサーチの分野である国際会議ICORES2014での研究発表を予定しており、そのための参加費、出張旅費、3)教育関係者との意見交換を積極的に行うことで、教育分野に適した意思決定機構の構築を目指すため、それに伴う調査研究の為の出張費、4)研究協力者である琉球大学の宮城教授との研究打ち合わせに伴う出張旅費、5)データの整理や分析を依頼する研究補助者への謝金 を予定しております。
|