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2013 年度 実施状況報告書

潜在要因と顕在要因を考慮した個別教育改善のための意思決定機構の構築

研究課題

研究課題/領域番号 24700909
研究機関青山学院大学

研究代表者

東 るみ子  青山学院大学, 社会情報学部, 助教 (80550102)

キーワード意思決定問題 / 主成分分析 / 教育工学
研究概要

<潜在要因と顕在要因を融合した意思決定機構の構築>
本年度は、潜在要因と顕在要因を評価項目とした、統合評価手法の開発を中心に研究を進めた。意思決定手法で扱われるデータは、意思決定者によって与えられる主観データが中心である。本研究ではこれを顕在要因とみなすことで、意思決定手法の一般的手法を用いて、与えられた定性情報から定量評価を行うことを提案した。そして、意思決定者による定性情報に対し、新しい指標を抽出する為に、主成分分析を応用した。抽出した新しい指標を潜在要因とみなし、両要因から導き出された評価を統合することで、顕在的側面と潜在的側面の双方から分析評価を行うモデルの開発を行った。従来の手法では評価項目や代替案の数が増えるほど、意思決定者から得られる定性情報があいまいになり、最終評価に大差が出ず、最も優先にすべき事項が明確にならない問題でも、本提案手法を用いることで意思決定者が意図的に与えた情報から内在する情報を引き出すことで、明確な評価結果を出力することが可能となった。
最近の学生の学力は正規分布を成していないと言われている為、学生の学力を多変量解析などで分析する際、従来の正規分布モデルを前提とした分析法では最適な結果が得られない可能性がある。その為、非線形データを扱うことが出来るカーネル主成分分析を用いたモデルの構築は必要不可欠である。本研究では学生のデータを用いて分析評価を行う為、構築したモデルに採用した主成分分析の代わりに、カーネル主成分分析を適用し、モデルの改良を行った。実データを用いたモデルの評価は次年度に行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の最終目標は、学生に対する評価や成績を用いて分析を行うことであるが、当該年度前半は、意思決定機構の構築に重点をおき、モデルの有効性の検証には、一般的に意思決定問題で用いられる意思決定者の主観データを用いた。
意思決定者によって与えられる主観データを顕在要因とみなし、この要因の評価には意思決定問題で扱われる一般的な手法のアルゴリズムを採用した。一方、意思決定者から得られた定性情報に対して、新しい指標を抽出し、それらを潜在要因とみなし評価するアルゴリズムには主成分分析を採用した。両要因から導き出された評価を統合することで、顕在的側面と潜在的側面の双方から分析評価を行うモデルの開発を行った。この研究成果は、the 3rd International Conference on Operations Research and Enterprise Systemsで発表を行った。
また後半では、非正規分布のデータを分析できるように、カーネル主成分分析を適用した手法の構築も行った。これにより、当該年度の計画であった潜在要因と顕在要因を融合した意思決定機構の構築まで研究を進めることができた為、現段階ではおおむね順調に進展していると考える。
更に次年度の最終目標である学生のデータを用いて分析評価を行う準備を行った。顕在要因として扱う定性データには学生自身の単元ごとの理解度(主観的評価)を用いることにし、毎講義ごとにアンケートを実施した。一方、潜在要因として扱う定量データには、単元ごとの小テストを行い、その点数を用いることにした。次年度には、これら実データを用いて提案モデルの検証を行い、その成果を発表することができると考えている。
以上の理由により、25年度はおおむね順調に進展していると評価する。

今後の研究の推進方策

次年度は本研究の最終年度の為、提案モデルのアプリケーション化に向け、次の内容を進めていく方針である。
・実データを用いた提案モデルの検証
・提案モデルのアプリケーション化
カーネル主成分分析を応用した意思決定モデルの有効性の検証をまだ行っていない為、次年度の前半は実データを用い検証を行う。検証には、申請者の講義で収集した学生の小テストの点数、理解度、リアクションペーパーなどのデータを用いる。なお、これらデータをモデルに利用する際には、個人情報(氏名、学生番号など)は削除した状態で取り扱う。更に大学生だけでなく、小学校などの教育機関での利用を目的とする為、現場の先生方に利用して頂けるように提案モデルのアプリケーション化を行う。本提案モデルの有効性では、大学生のデータを用いる為、小学校で利用して頂く為には改めて小学校のカリキュラムに沿った具体的な代替案及び定性データの項目を設定する必要がある。これには教育機関の方々と話し合いを行い検討する。アプリケーション化にはVisual Basicを用い、GUI環境で簡単に利用できるよう設計を行う。教育現場ではWindows環境が多い為、Visual Basicでアプリケーションを作成しても問題がないと考える。また万が一、提案モデルの検証に時間を要し、アプリケーション化の作業に十分時間がとれない場合は、Excelによる簡易アプリケーションを検討する。

次年度の研究費の使用計画

ほぼ計画通り支出しておりますが、為替レートの変動により、国際会議での発表における参加費、旅費等が予定より多くかかりました。その為、国内の学会参加をキャンセルしたり一部予定を変更したため、1,471円が残ってしまいました。よってその金額を次年度使用額として繰り越しました。
次年度の研究費の主な使用計画として、
1)国内の教育関連学会への参加、2)研究成果を発表する為の論文投稿料および別刷り代、3)提案モデルに関して、データ分析および教育工学関連の研究者と意見交換を行うための出張費、4)提案モデルのアプリケーション化および応用研究における教材の開発を依頼する研究補助者への謝金
を予定しております。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Development of a Model based on Evaluation considering Explicit and Implicit Element in Multiple Criteria Decision Making2014

    • 著者名/発表者名
      Rumiko Azuma, Shinya Nozaki
    • 学会等名
      3rd International Conference on Operations Research and Enterprise Systems
    • 発表場所
      Angers, France
    • 年月日
      20140306-20140308
  • [学会発表] Preference Order in Group Decision-Making Through Fuzzy Partial Order Relations2013

    • 著者名/発表者名
      Yui Miyagi, Hayao Miyagi, and Rumiko Azuma
    • 学会等名
      8th International Conference on Information Technology and Applications
    • 発表場所
      Sydney, Australia
    • 年月日
      20130701-20130704

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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