本年度は主に次に示す二つのことを中心に研究を進めた。 1)昨年度構築したモデルを用いて、大学生の実データに対して分析評価を行い、従来の意思決定手法よりも本手法のほうが得られる評価値が現実に近いものになっているのかの有効性の検証。 2)昨年度構築した手法にカーネル主成分分析を適用することで、点数が正規分布を成していないクラスのデータに対して有効な結果が得られるのかを検証。 1)の結果、従来の手法に比べ、学生の理解度の実態をより忠実に評価できることが分かった。2)では、平成26年度に収集した学生のデータが、試験点数、小テストの点数ともに正規分布を成していた為、非正規性のデータに関する検証が行えなかった。今後、学力の格差が顕著な科目のデータを収集し、引き続き検証を行う予定である。 また当初最終年度に予定をしていた、「提案モデルのアプリケーション化」に関しては、提案モデルの検証の遅れ、かつ職場の移動という私事で研究環境に変化があった為、GUIアプリケーションの開発を断念し、Excelによる評価アプリケーションに変更した。今後インターフェースを工夫するなどして、教育機関でも利用して頂けるよう使いやすい仕様を引き続き目指す。 本研究では、従来教育機関で行われていた授業アンケートあるいはテストの点数だけでの評価では、学生の理解度の実態を把握するのは難しいと考え、定性データと定量データを用いて、新たな意思決定手法を提案することにより、より学生の理解度を評価することが可能となった。これらの研究成果に関しては、論文として現在執筆中である。またこの研究により、学生のデータの収集方法が課題として挙げられ、その効率化を目指すためには、教材のデジタル化が必要不可欠となる。その為、教材のデジタル化に伴う問題点などに関しても調査研究を行い、成果を日本e-learning学会で論文として発表した。
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