研究課題/領域番号 |
24700910
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高橋 勇 北里大学, 一般教育部, 准教授 (40345674)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | e-Learning / 知的教育支援システム / インタフェース / エージェント |
研究実績の概要 |
本研究では、e-Learning形式の授業において学習者のトラブルを解決するために自律的に動作するティーチングアシスタントの役割をするエージェントを設計・開発して運用・評価することを目的としている。初年度はエージェントのプロトタイプを作成して本システムの実現可能性を示し、次年度は実際のTAの活動を録画した映像の分析から必要な機能を整理してシステムの再設計を行った。本年度は再検討の結果に基づき一部の機能を実装した。 本研究のポイントはパソコンの画面をキャプチャしたデータと教員が作成した手順書の画像にもとづいて学習者の状況を把握することにより、授業で利用しているアプリケーションなどの環境によらない支援を実現できる点にある。しかし、ウインドウの重なり等により存在してはいるが画面には見えていない状況が頻繁に生じる点に問題があった。本年度は特にこの問題を中心に検討し、実際のTAが学習者に作業指示を出して画面を確認させることでこの問題を解決していることが昨年度の研究成果よりわかったため、そのような指示を出すための教材知識の記述方法、学習者との対話の戦略、指示した結果の確認方法、これらを連携する方法、について明らかにし、それにしたがってシステムの実装を行った。その結果、本システムが学習者に対して想定通りの作業の指示を出すことができ、また、その結果から学習者の作業の進行状況を確認してアドバイスを提示できることが確認できた。 この成果は「e-Learningにおける汎用TAエージェントの作業指示機能の実装」というタイトルで情報処理学会台77回全国大会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は前年度に再設計したシステム全体の基盤部分を完全に実装する予定でいたが、パソコンの画面をキャプチャして学習者の状況を把握するという本研究の重要な点についての問題が生じたためにその解決方法の検討に時間がかかったことと、システムにバグ等が発生して想定していた以上に開発に時間がかかったため、アドバイス生成にとって重要な対話機能と画面を確認させることを含めた作業指示機能の実装は行ったものの、予定していた関連知識提示機能や教員をサポートするオーサリング機能などの実装までには至らなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
実装作業が予定から若干遅れているため、最終年度である来年度は本研究で想定しているシステムのうちコアにあたる部分(パソコン画面のキャプチャ画像に基づいた現状把握とアドバイス生成を行うことにより汎用性のある支援システムを実現させている部分)の機能を優先的に実装する。 一方、教師が作業手順を登録するオーサリングシステム部など、本研究においては周辺となるサポートシステムについては簡易な実装を行うか、あるいは実装可能なことを明らかにしたうえで実際には内部のデータのみを実装するなどの方法で実装の負担を軽減し、上述の本研究にとって重要な部分の実装のための時間を確保する。 そのような方針で研究を進め、本研究の新規性が示せる最低限の機能が実装できた段階で、限定された範囲での評価実験を行うことで、本研究の目的を達成する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は動作検証用のパソコンや実装時に必要となる各種ソフトウエアや書籍等を購入する予定でいたが、実装が予定よりも遅れたために本格的な動作検証は来年度に行うことになり、また、実装した部分は既存のプログラミング知識のみで達成できる範囲であったこと、昨年度購入したバックアップ機器やセキュリティソフトウエア等で本年度も対応が可能であったこと、から予算に次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度行う予定であった動作検証に必要なパソコンの購入や実装に使うソフトウエアの更新、書籍の購入等に次年度使用額の補助金を利用する。また、来年度はバックアップ機器やセキュリティソフトの更新等が必要であり、成果発表のために旅費や研究会参加費等も必要になることから、これらの費用については例年どおり本補助金を利用する。
|