研究課題/領域番号 |
24700913
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
加藤 尚吾 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (80406735)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メディアコミュニケーション / 不登校児 / 学習環境 |
研究概要 |
研究代表者は継続して電子メディアを用いた不登校児支援に関する実践研究と文字ベースの電子メディアコミュニケーションにおける感情面に焦点を当てた基礎研究を行ってきた。本研究課題は、研究代表者のこれまでの一連の研究成果を発展させるという位置づけである。すなわち、これまでの実践で得られた知見や基礎研究で得られた知見を基にした教育現場で直接役立てられる応用研究を4年計画で実施する。本研究では、不登校児のインターネットを用いた家庭学習において、不登校児や保護者と教員や学校関係者とを結ぶ際に必要になるメールなどの文字ベースの電子メディアコミュニケーションについて感情面を考慮した学習環境を構築することを目的としている。学習環境の構築のためには、一般的に対面コミュニケーションが難しい不登校児童生徒を対象にしていることと、教育環境の現状から、本研究課題においてもインターネットを用いた学習環境を構築することになるため、研究の最初に、また継続して現代の若者のインターネットやモバイルメディアを用いた電子メディアコミュニケーションについて細かく調査する必要がある。 初年度である当該年度は、主に、デジタルネイティブであるといえる現代の大学生を対象に質問紙調査を行い、その成果を発表した。調査結果から、携帯電話やスマートフォンおよびそれらで用いるコミュニケーションアプリケーションの使用状況や、マナー、モラルに関してデジタルネイティブとデジタルイミグランツとの間に違いがあると思われる。したがって、コミュニケーションの仕方、常識に関して不登校児と支援者の間にずれが生じる可能性が示唆された。これらの成果は、日本教育工学会研究会などで複数回報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の計画は、1)これまでの不登校児支援の実践研究と文字ベースの電子メディアにおける感情面に着目した基礎研究の知見を体系的にまとめること。具体的には、これまでの申請者らの論文をメタ的に分析する。そうすることで、不明確な点が明らかになるため、2)不明確と考えられる箇所について更なる調査を実施すること。調査方法は、実験と質問紙調査を用いる。以上2点であった。当該年度における本研究課題の進捗は、おおむね順調であった。また、本研究課題の遂行の過程で得られた調査結果や実験結果などを、なるべく早い時期に社会や教育現場で役立たせるために、国内は日本教育工学会大会、研究会、および教育情報学会大会を中心に当該年度の研究成果を報告し、情報収集を行った。しかし、海外の学会での情報収集および研究成果の発表を行っていない点については課題といえる。これまで発表した論文の共同研究者を、本研究課題においても研究協力者とし、分析および体系化を実施するために共同研究者との研究打ち合わせを複数回行った。関連する文献や、実践報告、研究に関して、常に調査を行い、最新の知見を本課題に活かすようにした。また、専門的知識と経験を有する研究協力者との議論を常に行うようにした。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の研究の進捗はおおむね順調であり、平成25年度以降も申請書類に記載した研究計画にしたがい研究を推進する。推進方策としては、システム開発に詳しい研究協力者および、教育現場に詳しい共同研究者の援助を受けることを予定している。また、平成25年度以降も、本研究課題の遂行の過程で得られた調査結果や実験結果などを、なるべく早い時期に社会や教育現場で役立たせるために、国内は日本教育工学会大会、研究会、および教育情報学会大会を中心に当該年度の研究成果を報告し、情報収集をする。また、関連する海外の学会に出席し、研究成果の報告および情報収集を進める。 なお、調査、実験および実践を実施する場合は、協力する調査対象者のプライバシーを、個人情報保護法および東京女子大学の定める「個人情報保護方針」に基づき厳重に扱う。また、必要に応じて東京女子大学研究倫理委員会の審査を受ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
文字ベースのコミュニケーション機能(個人対個人、複数人)について感情面を考慮した学習環境システムの開発に着手する。その際、小学校でのeラーニング実践に関する研究等を参考にする。 開発、技術面およびインターフェース面、教育現場の状況に関して詳しい研究協力者による協力を得る。さらに、関連する文献や、実践報告、研究に関して、常に調査を行い、最新の知見を本課題に活かす。また、専門的知識と経験を有する研究協力者との議論を常に行う。 本研究課題の遂行の過程で得られた調査結果や実験結果などを、なるべく早い時期に社会や教育現場で役立たせるために国内の学会、および日本の学術研究を広く世界にアピールするために海外の学会において、逐次積極的に発表する。なお、国内は日本教育工学会大会、研究会、および教育情報学会大会を中心に、海外はAACE、IADISを中心に成果発表を行う。また、国内外の他の研究者の最新の研究知見を得るために、上記の学会を中心に情報収集を行う。 したがって、平成25年度の研究費の使用は、主にシステム開発のための経費、およびシステム開発や教育現場に詳しい研究協力者との打ち合わせのための経費、学会での成果報告および情報収集のための経費に使用する。なお、平成24年度の未使用分研究費は平成25年度分の研究費とあわせて使用する。具体的には平成24年度は国内での成果報告、情報収集にとどまったが、平成25年度は国内学会にくわえて海外学会での情報収集も実施する予定であり、そのための旅費、またシステムにかかわる調査、設計、開発にかかわる経費にあてる。
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